2010年5月 9日 (日)

保育園で話したこと

昨日、「こどもの病気とのつきあいかた」というタイトルで、保育園で話をしてきました。

対象者は、2歳児クラスの保護者です。
お母さん10数名、お父さん数名、それから保育園の先生方、数名。
20分くらい話をして、それから質問を受けて(10分程度)終わりでした。

何を話したか、ってのを自分で思い出して記録してみましたので、よろしかったお読みください。

例によって長文です。すみません。
(以下、あくまでも個人的な見解がたくさん入っています。内容を参考にするにしても自己責任でお願いします!)

~こどもの病気との「つきあいかた」という題にした理由~

こどもは病気をするもの、病気をしてあたりまえ。
病気をして熱を出して、こどもの身体が病原菌に対応するやり方をおぼえていく(免疫をつけていく)んだと思っています。
こどもは病気をして病気への抵抗力をつけていくので、病気をしない方がむしろ心配なくらい。
だから、こどもの病気はやっつけるものでも、無くすものでもなく、親として、つきあっていくもの、だと思うんです。

だけど、こどもの病気は親もたいへんだし、こども自身もつらいもの。
私は親であると同時に医師で、そういう親の子が病気になっても親として全然、大変じゃない、とみなさんは思われるかもしれません。でも、私はすごく、こどもの病気に悩まされたし、ホントにホントに大変で、医師である私でもそんなに大変で悩むんだったら、一般の親にとって、こどもの病気はどれほど大変なことなんだろう、と思うんです。

最初の子の時が一番大変で(何がこどもの「普通」なのかがわからないので、何でも異常のように思えてしまう)、二人目、三人目と同じように病気をしても、親として慣れてきて、病気とのつきあいかた、が解ってくるような感じがあります。子が病気をするのは一緒でも、親として対処の仕方が上手になり、こどもが病気で世話をする時間も、親子で過ごす大切な時間と思えるようになってきたりしました。
なので、こどもの病気と上手につきあっていく方法、というのがあるんじゃないか、と思うんです。大変な中でも少しは気楽に、ストレス少なく、こども病気とつきあっていけるのならその方がいいので、そのためのヒントになるような話ができたら、と思います。

~保育園から電話がかかってきたら~

(この部分はほぼ原稿と同じ展開だったので簡単に。)

電話での話だけで決めてしまわないで、親自身の目で子を見て、手で触って、呼びかけて
目があうかどうか確かめて、それから病院に行くかどうかを考えましょう。

親の目で、こどもの様子を確かめる、
親の手で、こどもに触れて、こどもの熱を感じる、
親の声で、こどもに呼びかけて、こどもがどう反応するか(上手に話ができない年齢の子なら、こどもと目が合うか)を見る、そういうすべてが、こどもの病気とつきあっていくためには欠かせません。

~こどもが出す、熱について~

熱、たとえば同じ40度の熱があっても、大人の熱とこどもの熱はぜんぜん意味が違います。先日、私の弟(30代)が40度の熱を出して病院を受診し、肺炎と診断されて入院しましたけれど、大人だと40度の熱というのはそれくらい重病。だけど、こどもの場合は40度だから間違いなく重病、ということではなく、ちょっとした風邪で40度くらいの熱を出してしまうこともあります。
よく心配されるのですが、高い熱がでたからといってそれだけで脳がダメになるということはありません。40度、いや、41度の熱を出しても、それだけではこどもの脳はダメにならない。

こどもの熱は、体が免疫をつけている、病原菌への対抗方法を練習しているような状態だと思います。
熱があってフーフー言ってても、水分を飲むことができていて(こどもは脱水になりやすいので、口から水分補給ができるか、は、とても大事)、名前を呼んだら目がちゃんとあうなら、大至急病院に行くことはないんです。

個人的には、熱が出始めてから3日は家で様子をみてもOKと考えています。
保育園から熱がある、と呼ばれて、熱があっても水分がとれておしっこも出ているなら、次の日、場合によってはその次の日まで家でこどもをみることにしていました。
3日目の朝になっても熱が高かったりで、良くなりそうな様子がないなら、その日の日中に病院に行くか、次の日に行くかを考える、という感じです。

~病院とのつきあいかた~

病院は24時間、開いているけれど、昼(通常の診療時間)と夜(時間外、休日)では医師が子を診る、そのみかたが違うことも知っておいてください。
コンビニで24時間いつも同じ商品が買えるのと同じに考えてはいけなくて、時間外だと、医師は「明日の朝までこの子の命がちゃんと続くか」という点だけにポイントをおいて診ます。
24時間救急というのはそういうものです。
今すぐ処置をしないと重症になるという子には対処しますが、翌日の朝までのこどもの命を守るのが夜の救急ですので、そこで風邪薬を数日分もらうとかはできません。

こども一人一人を丁寧にみて、その子にあった治療方法、長い目で見たときの治療の影響や生活への関わりなど、今後のことなどもしっかり考えるのは、平日時間内の診療の時だけ、と思った方がいいでしょう。
ちゃんとした診察をしてもらいたかったら、夜や休日ではなく昼の病院受付時間内に診察を受けた方がいいんです。

~誰が病院に連れていく?~

病院には親が連れていきましょう。
おばあちゃんが病院に連れていき、日頃の様子を医師に尋ねられ「日頃は保育園なのでわかりません」としか言えなくて、医師もおばあちゃんも、困ってしまうこともあるそうです。
お父さんとお母さんがいる家庭なら、どちらか一方ばかりではなく、お母さんが休んだら次はお父さん、という風に交代で仕事を休むことをお勧めします。
お父さんもお母さんも仕事をしているから保育園にこどもを預けているのですし、こどもの病気は家庭のピンチですから、お互いに助け合ってピンチを乗り越えないとキツイです。

こどもが病気で保育園から連絡をもらって、誰かが仕事を休まなくちゃいけなくて、ホントに親は大変です。保育園に預け始めたころは特に、それまでなかった病原菌にいっぱい出合ってしょっちゅう病気をして、登園できる日より登園できない日の方が多くて、今月の保育料返してくれ(笑)と言いたいような時もありますけれど、そういう時期は必ず、終わります。3歳のお誕生日をすぎたら、熱を出すのも年に数回とかになってきます。こどもの病気に終わりはなくて、ずっとつきあっていかなくちゃいけないものではあっても、必ず、丈夫になっていく日が来ます。ほんの数年間のことですから、こどもが病気をしたら腹をくくって、こどもとしっかり向き合う時間、こどもと一緒にすごす大切な時間、だと思って、親の手で、しっかり看病してあげてください。

~「こどもの病気とつきあう」リスト~

最後に、紙を一枚くばりました。
お土産、というか、こどもさんが病気の時に使ってみてください、と。
紙に書くことで、問題を整理し客観的になれるし、記録もできるから、です。
↓こんなことが印刷してある、紙です。必要な方はコピー&ペーストしてご利用ください。
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「こどもの病気とつきあう」リスト

 

□ 熱はいつ、どのくらい?(おでこ、うなじにさわってみる)

 

  __月 __日 ___時 に ____度 ____分

 

□ どんなようす?

 

□ 水分は飲めている?    はい   いいえ

 

□ おしっこは出ている? いつ出たのが最後?   ___時ごろ

 

□ なにが一番、心配なのか、書いてみる

 

こどもの病気は、親子がもっと仲良くなるチャンス
こどもへの目くばり、心くばりを忘れずに

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参加していた保護者の方から、質問もいっぱいありました。
こういう話って必要とされてるのも実感しました。

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2010年4月28日 (水)

「こどもの病気とのつきあいかた」原稿

「こどもの病気とのつきあいかた」というタイトルで、ウチの子達がお世話になった保育園で話をさせてもらうことになりました。
2歳児クラスの保護者会の後に、15分程度で、ということでお話しする予定です。

どういう話をするか、を考えている最中です。
話したいことを考えてると、私の散漫な頭には思いつくことがあれこれ次々と・・・。
病理学会に出るために乗った飛行機の中で、いっぱいメモができました。
その一部をここに載せておきます。

とりとめもない内容ですみません。
15分で終わるよう、これから内容を整理し、削りまくる予定です。
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「こどもの病気とのつきあいかた」

これから、一つ、みなさんに質問をします。
「はい」か「いいえ」のどちらかに必ず、手を挙げてくださいね。
できるだけ正直にお願いしますよ。

質問:保育園からお子さんが病気なので、引き取りにきてください、と電話がかかってきました。電話を切ったあと「ああ、子どもをすぐ病院につれていかなくちゃ」と思いますか?

   はい  いいえ

「はい」の人は子どもを大切にしている、子ども思いの保護者さんです。
そういう気持ちはとても大事ですから、お子さんを大切にする心を、これからも持ち続けてくださいね。
ですけれど、別の見方をすれば、「病院につれていけば子どもの病気を治せる」「子どもが病気になってもすぐに治すことができる」と考える傾向が、やや、強いかもしれません。

それが悪いと言いたいのではありません。
ただ「自分にはそういう傾向があるかもしれない」ということは、心にとめておいてくださいね。

実際には、病院に行けば早く治せる病気もあるけれど、すぐには治せない病気もある(コントロールできる病気と、できない病気がある)というのは、みなさん、よくおわかりだと思います。

「いいえ」の人は・・・あえて正解を一つ、というのなら、どちらかといえばこちらが正解に近いんじゃないかと私は考えています。
病院に連れて行く前に、することがある、という意味です。

親が、自分の目で実際に子どもを見て、声をかけて、子どもの様子や反応を観察すること。
親が、自分の手を子どものオデコ(うなじ、の方が熱はわかりやすいかも)に当ててみて、子どもの熱の程度を実感すること。

それをしてから、病院に行くかどうかを決める、というのが正解じゃないかと思うんです。
保育園からの電話連絡だけで「病院に行く」と決めるのは早すぎる、と私は考えています。



大原則:

 家で看病できる病気はたくさんある。
 家で大丈夫、と思える状態の時は家で。
 急いで病院に行ったから早く良くなる(保育園に預けられるくらい元気になる)という病気はホントは少ない

たとえば・・・
 熱が高い、と保育園から連絡があった

 迎えに行ってみたら、熱の割には元気
 (全身状態が良い)
 水分を飲めている(脱水のおそれがない)
 おしっこがちゃんと出ている
 (脱水状態だとおしっこが出なくなる)

 熱が出始めた最初の日にこれなら、とりあえず、心配のない熱。
 たとえ40度の熱であっても、急いで病院を受診する必要はありません。
 翌日まで様子をみても大丈夫。


保育園から連絡があった時に、ソッコーで決めなくてはならないこと、というのは実は一つだけ。親の仕事のこと。
誰が保育園に子を迎えに行くか。
そしてたぶん休むことになる明日の仕事はどうするのか。
・・・という問題だけ。これは子どもの問題ではなく、親の問題。
でもとても大きな問題。

誰が迎えに行くか?=日頃から話し合っておく
・親のどちらか(シングルの方、すみません)
  どちらか一方ばかりにしない。夫婦は平等。
・おじいちゃん、おばあちゃん
・それ以外の人

注:自分が迎えに行かないのなら、身内であっても「(お迎えに行ってくれて)ありがとう」という一言を絶対に、忘れずに。忘れると次に行ってもらえなくなるかも。

こどもの病気で仕事に穴をあけてもクビにされないために。

「いてもいなくてもいい人」を目指さない(急な休みが多い → クビ)
「仕事がデキる人」を目指す(いないと困る、いるとありがたい人になれば、突然、休むと迷惑 → ありがたみがわかる、急に休んでも他の日に仕事に貢献することでフォロー)

・日頃の働きぶりが大事
・急に休むことになって申し訳ない、と言葉と態度で表現する、その姿勢を崩さない
・ただし「ここぞ」という時はカンペキに決めてみせる

・仕事上でブレイクするのは10年後、と考える(by 日垣隆)

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2007年8月23日 (木)

日本脳炎の予防接種(その2)

久しぶり(1年ぶり?)にこの話題を。

積極的勧奨差し控え中の日本脳炎予防接種ですが、ウチは危険区域にあるということで(半径2km以内のところに豚がいるし、この地域の豚は日本脳炎ウイルスに感染してる可能性が高いため)子供に予防接種を受けさせました。
今回の接種で我が家の子供たちは全員、初回接種(3歳の時に2回、1年後にもう1回)を終えたことになります。
前回は待ちきれなくて自費で受けさせたんですが、今回は公費、つまり無料!

接種の手順を書いておきます。

1.役場の予防接種担当課に「日本脳炎の予防接種を受けさせたいです」と電話。
 担当さんに子供の名前と生年月日を告げ、予防接種を実施している病院を教えてもらいました。(というか、私の場合は自分の勤務先で接種できるかどうか、なんですけどね。)

2.数日後、DPTなどの他の予防接種同様の問診票と、 同意書(下図)が送られてきました。

3.日本脳炎の予防接種を実施している病院に電話し、接種を予約しました。
(私の場合は職場なので、内線電話でしたけど…小児科に予約した後、薬局からワクチンの在庫が少ないこと、製造中止にするメーカーがあいついでて、昨年の接種とは違うメーカーの薬になるけどそれでいいですか?という連絡がありました。)

4.問診票と、同意書に必要事項を記入し、母子手帳も持って子供と一緒に病院へ。
(4歳の息子は注射の瞬間は泣いたけど、すぐ泣き止みました。)

以上です。文章にするとこれだけですけど、結構、手間です。
だから受ける人は少ないだろうなぁ、と思いますが…。
個人的には、我が家と同様の条件(こちらで流行予測地域とされる色付きの都道府県に住んでおり、半径2~8kmの距離に養豚場があるか、野生のイノシシが出る可能性があるような場所に住んでいる、もしくは好んで行く家庭)のお子さんは、ワクチンの接種を検討された方がいいのではないかと思います。

ちなみに沖縄では以前、米軍の軍人軍属の日本脳炎発症者があり、沖縄に派遣する米軍関係者には予防接種をしているそうです。
CDC(米国疾病管理センター)では沖縄の4月から10月を流行期としています。

9月末、追記。読売新聞の記事(Web魚拓)をリンクしておきます。

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2006年10月16日 (月)

日本脳炎の小児患者発生

平成2年以来途絶えていた日本脳炎の小児患者(未就学児)が熊本県で発生した
そうです。情報はこちらより。
日本脳炎は発症してしまうと有効な治療法のない疾患です。
この子が後遺症もなく回復することを、祈っています。

もちろん地域によって事情は違いますが、ブタにおける流行が確認できる地域では、
今もなお、日本脳炎の予防接種は必要なのではないでしょうか。

私自身の子供たちにはこちらに書いたように自費で予防接種を受けさせましたが、
住んでいる地域の広報紙(14ページ)によると、公費での対応を開始したようです。
国は全国画一的な通達しか出せないでしょうが、日本も北から南まで、地域に
よって背景となる事情は違います。
地域の事情にあわせて、子供たちの健康を守るために働いている行政、関係者の
みなさまのご尽力に感謝します。

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2006年9月18日 (月)

日本脳炎の予防接種

先週末、子供二人に日本脳炎の予防接種を受けさせました。

子供は、3歳と5歳。
以前なら(厚生労働省による「日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨差し控え」
の前なら)集団接種されている年齢です。
しかし、新しいワクチンの接種がいつからになるかもわかりません。
「希望者には接種する」という原則も守られないので(希望したが、連絡がないまま)
自費診療として、二人の子に接種することにしました。

以下、ウチの場合の手順を記録しておきます。
1.医療機関に「日本脳炎ワクチンを自費で接種させたい」と連絡する。
2.その医療機関で接種できるということであれば、接種日時を予約する。
3.予約日には、ワクチンを受ける子供の母子手帳と保険証を持ち、
 子供と一緒に受診。
4.医師の診察、説明を受け、接種の回数について検討する。
(ウチの子の場合、5歳の子は3歳の時に1回、接種していたので今年2回接種。 
 3歳児は今回が初めての接種なので今年2回接種し、次は1年後。)
5.接種し、お金を払って帰宅。

予防接種を受けるかどうか、は、子が感染するリスクを検討した上で、
親が(医師の知恵を借りつつ)判断すべきことです。

私は、70万回から200万回の接種に1回発生するという副作用のリスクよりも、
日本脳炎にかかるリスクの方が高いと判断しました。
一番の理由は、地域性。
感染源のブタが、近くにいるとされる「レッドゾーン」に住んでいます。
世界的な視野でみれば「日本脳炎流行地・感染危険地域」とみなすべき、地域。

日本脳炎について、医学的な情報はこちらが最新のものでしょう。
小児科医としての常識的な見解(だと私が思う)ものはこちらにあります。

追記。沖縄県医師会からの情報。
定期の予防接種における日本脳炎ワクチン接種の取扱いについて
今年8月31日付での厚生労働省からの「日本脳炎ワクチンについての説明書」も
中に含まれています。

更に追記。やんばるでも、私が住んでいる地域では公費で(個別接種の形式で)
受けられるようになったそうです。詳しくは市町村の担当課にお問い合わせを。

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