2020年7月18日 (土)

名桜大学における新型コロナウイルス感染症対策に係る用語の定義と接触者の受講について

久しぶりの更新です。長ったらしいタイトル、ご容赦ください。

 

さて、名桜大学では新型コロナウイルス感染症対策を行いながら対面授業(学生が来学しての講義)を実施しています。

対面授業の開始前に定めた(というか私がお役目上、原案を作成し関係者と調整して大学での承認を受けた)文書を、こちらで公開します。下のリンクからダウンロードできます。(pdf,494kb)

ダウンロード - e5908de6a19ce5a4a7e5ada6e381abe3818ae38191e3828be68ea5e8a7a6e88085e381aee5ae9ae7bea9e3818ae38288e381b3e58f97e8ac9be381abe381a4e38184e381a6.pdf

少し解説します。

名桜大学では「濃厚接触者」を「一次接触者」とし、濃厚接触者に濃厚接触している人を「二次接触者」と定義しています。

例として、学生さんが同居しているご家族が勤務先で新型コロナウイルスの患者と接したならば、ご家族が「一次接触者」、学生さん本人は「二次接触者」となります。

そして受講に際して、名桜大学では「二次接触者」を「非接触者」と同じに扱います。

まぁ、それだけの話です。この定義と扱いは、現在も名桜大学において有効です。

なおこれを定めた後、厚生労働省での新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領が更新されましたが、最新版(5月29日付)は「感染経路が明らかではない患者が散発的に発生しており、一部地域には小規模患者クラスター(集団)が把握されている状態」を想定し「無症状病原体保有者」の扱いについて主に定めています。これは現時点までの当地(沖縄本島北部地域)における状況とは異なりますので、名桜大学での定義は変更していません。

また、沖縄県内では米軍基地内での患者クラスター(集団)が確認されていますが、幸いなことに地域内で「感染経路が明らかではない患者が散発的に発生する」という状態は7月18日現在、確認されていません(今後もそうならないことを願っています)。

ですけれど接触に関する問い合わせは多いため、名桜大学の保健センターからお返事している内容をQ&A形式でこちらに載せておきます。

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注)以下のQ&Aは質問者として名桜大学の学生または教職員を想定しています。学外者からの質問は想定していませんのでご注意ください。

Q1:家族が米軍基地内で働いています。私は大学構内に立ち入らない方が良いですか?
A1:いいえ、来学可能です。
 もしご家族がPCR検査対象となった場合、保健センターにご一報いただけるとありがたいです。
(※検査対象のご家族が一次接触者、本人は二次接触者となりその場合も来学可能です。ご家族の検査が陽性であれば、本人は一次接触者となり、2週間の健康観察となります。)

Q2:米軍基地の中で実施された英会話スクールに参加しました。私は自宅待機の対象者ですか?
A2:はい。2週間の健康観察と、遠隔授業をお願いします。(Q3&A3参照)

Q3:アルバイト先でアメリカ人と接する機会がとても多いです。私は大学に来て良いでしょうか?
A3:アルバイトの場所が、米軍基地の中であるか、米軍基地の外であるかで異なります。
  米軍基地の中であれば、現在の在沖米軍基地は移動制限がありますので、国内感染流行地(市町村)または海外流行地と同様に考えて、2週間の健康観察期間、自宅待機をお願いします。※「6/15更新【学内者向け】名桜大学新型コロナウイルス感染症拡大予防のためのガイドライン」には、 流行地への渡航について定められています。
  アルバイトの場所が米軍基地の外であるならば、保健所によるPCR検査の対象者となるかどうかが一つの目安となります。(濃厚接触が疑われれば保健所から検査を求められます。)心配であれば、保健センターにご相談ください。

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上記のQ&Aは「米軍・アメリカ人」を例にしていますが、県外の都道府県から来る観光客、もしかしたら国外からも来るようになるかもしれない観光客との接触についても、これに準じた扱いとなる予定です。

本格的な流行を経験していない当地でも感染者、濃厚接触者を差別するような雰囲気が生じつつあり、そのような雰囲気を危惧しています。

過度に怖がる、忌避するのではなく、また相手の属性等による先入観で決めつけながら考えるのではなく、現実を見据えつつ「拡げない」対策を実施したいものです。

全国ニュースなどでは、どうしても人口の多い地域、患者が多発している地域のことばかりが報道され、当地のような人口密度が低く患者も少ない地方、辺境の大学では状況が異なり、独自に定義せざるを得ないことが多々あります。

以上、当地のみならず他の地域の大学関係者や、今後の入学を検討している高校生のみなさんに、こういう情報は参考になるかと思い、情報提供いたしました。少しでも参考になれば幸いです。

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2019年7月14日 (日)

診療情報管理士は、病院の経営とはどういう形で関わるのか?

ある高校生さんにご質問いただいたので、ブログにてお返事させていただきます。

質問

「診療情報管理士は実際、病院の経営とはどういう形で関われるのでしょうか?」

これは、とても良い質問だと思います。診療情報管理士の役割は大きく変化しつつあります。

1.病院の経営とは何か

まず「病院の経営」とは何であるか、を私の言葉で説明させてくださいね。

「経営」とは、営み(事業)を続けること、そのものです。
病院は、患者さんの病気を治療する、医療を提供する事業体です。
たとえば「沖縄県立中部病院」は、沖縄県(沖縄県庁)の「病院事業局」という組織の一つとして経営されています。

事業を継続して行う、すなわち「経営する」という点で、病院は事業体としての性質を持っている、ということをまず理解してくださいね。

そして、事業体の経営には経営資源が必要です。
病院であれば、患者さんに医療を提供し続けるために、経営資源が必要、ということです。

この経営資源は、一般に4つの要素に分けられています。
1)人的資源(ヒト):医療者、看護者、その他の病院で働く人
2)物的資源(モノ):建物、検査機器などの機械、装置
3)財務的資源(カネ):1)2)を事業目的に沿って維持し続けるのに必要なお金
4)情報資源(情報):1)2)3)を事業目的に沿って維持し続けるのに必要な情報

ヒト・モノ・カネ・情報という4要素、おぼえてくださいね。

病院で、この4つの全体をまとめて管理するのは病院長、看護部長、事務部長などの、管理職と言われる人たちです。
管理職の下に医療部門(医師、医療技術者)、看護部門(看護師、看護助手など)、事務部門(事務職員)がいます。

ある病院の事務部長さんは診療情報管理士の資格を持っていますが、この資格を持っていない人が事務部長になることも珍しくはありません。しかし病院事務職員として仕事をしていく上で、診療情報管理士資格取得に必要な医療・経営・情報の知識は役にたつこと間違いないです。

病院の事務部門の中で、ヒトを管理するのは人事部門、モノを管理するのは物流・施設部門、カネを管理するのは財務部門、情報を管理するのが情報部門、という風に組織上は分割されます。分割されているといってもたとえば人事部門はモノやカネには一切関わらない、という厳格な仕事の分け方(業務分掌)ではありません。主にヒトに関係することを扱い、ヒトに伴うモノやカネにも関わる、という程度に理解してください。

2.病院の情報を扱う診療情報管理士

さて。
病院のさまざまな情報は「診療(記)録、カルテ」に集まってきます。
以前は紙のカルテが一般的でしたが、現在は電子化されています。

この電子化されたカルテを読んで内容を理解し、必要な情報をとりだし、その情報を必要としている人に相手が求める形で加工して届けるのが、診療情報管理士の仕事だと私は理解しています。

カルテの内容を理解するには医学の知識が必要です。
情報を扱うにはITに関する技術力が必要です。
相手が何の情報を求めているのか理解し、加工して届けるには医学、情報に加えてコミュニケーション能力が必要です。

実例をあげましょう。※そのままという訳にはいきませんので、一部を仮名にするなど変更しています。

名桜大学の診療情報管理専攻の卒業生であるYさんは、病院で医事課入院係という仕事をしています。
電子カルテをものすごく「読む」仕事だそうです。
どんな風に読むのか、読んで何をしているのか、というYさんの物語です。

登場人物は3人。
Aさん:患者さん。病院に入院し、退院直前です。
F先生:医師。Aさんの主治医です。
Yさん:医事課入院係の診療情報管理士です。病院に勤務して3年目。

Aさんが入院して病院で治療を受け、病気が良くなったので入院5日目での退院が決まりました。
退院前日、4日目の午後のことです。
明日は退院する、と決まったAさんのカルテをYさんが見た時、医師の記録の重要な部分が、何も書かれていないことに気づきました。
「退院時病名」欄が空欄なのです。

入院患者さんの医療費は「退院時病名」で決定されます。
なのに、主治医のF先生は他の重症患者を何名も担当し診療に追われ、病状が改善し退院する患者、Aさんのカルテ入力が後回しになっているのです。
医師F先生としては、重症患者の診療が優先です。
ですけれど、Aさんの退院時病名が決まらないと、Aさんの入院診療費は不明のまま。病院は、入院医療費を請求できません。

Yさんは、Aさんの電子カルテを読みました。
病院に入院するきっかけとなった紹介状、入院してから行った検査リスト、放射線診断医の診断結果、F先生が使用した医療器具、看護師の看護記録などなど、膨大な情報を読み、Yさんなりに理解し考えました。
そしてF先生に退院時病名を提案するメールを送りました。

「Aさんは明日退院予定です。退院時病名は〇〇でよいでしょうか?」

翌日の朝一番で、F先生から「Aさんの病名〇〇を承認します」という返信がYさんに届きました。
病名に従ってAさんの入院医療費が決定され、Aさんは病院の窓口で医療費を支払って退院しました。

これは、ほんの一例です。Yさんの上記の例では「情報」から「カネ」の管理に関わり、「ヒト」である医師の業務効率化に貢献した、ということになります。他にも「モノ」や「情報」に直接的に関わる、重要な役割(病院の各種統計やカルテ開示などなど)を各病院の診療情報管理士は担っています。

電子カルテを読み、必要な人に必要な情報を届ける、診療情報管理士の仕事は、他にも多くの場面で病院の経営に関わっています。

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