2017年1月16日 (月)

「地域医療構想と構想策定後の取り組みに向けて」講演会メモ

参加した講演会のメモです。

あくまでもメモです。文責はすべて私にあります。
記録内容として誤っていましたら、メモをとった私のせいだと思われます。
講師が使っていない表現も多数、含まれています。

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「地域医療構想と構想策定後の取り組みに向けて」講演会
2017年1月15日(日)13:00~15:10

開会あいさつ:砂川 靖 沖縄県保健医療部長

第6次医療法改正に伴い、2016年度までに地域医療構想を策定し、2025年のあるべき医療提供体制に向けた協議の場がスタートする。
本講演会は、地域医療構想の趣旨を共有することが目的である。

座長:保健医療部保健衛生統括監 糸数 公 先生

講演1「地域医療構想と次期医療計画」

講師:厚生労働省医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室地域医療構想策定支援専門官
 伴 正海(ばん まさうみ)先生

本講演の趣旨:制度・政策の概要と方向性を知り、沖縄の地域医療に活かす
1.政策の概要と方向性についての理解
2.地域にてどう実践するか

1)医療政策の主体は国ではなく都道府県
 国に陳情してもほぼ意味なし。
 都道府県との協働が必要。
2)地域包括ケアシステムが上位概念
 地元市区町村から選ばれる医療機関になる必要がある
3)高度医療より地元医療
 地元住民や介護事業所から選ばれる医療機関
4)AIやICT技術はどんどん取り入れる
 医療以外の科学技術分野をしっかり学ぶ必要がある
5)専門職じゃなくてもできる仕事は代替される
 医療機関の理念を通じ専門職の在り方を再定義することが必要
6)魔法の杖は、ありません。
現場からコツコツと積み上げていく必要がある。


地域医療構想とは?
医療計画の一部が地域医療構想である。
保険制度、医療提供体制(医療法・医師法・保助看法等)
 医療法の中に「医療計画」がある。
 5疾病5事業等、の中に地域医療構想が入ってきた。

「2025年問題」
いわゆる団塊の世代が75歳以上となる。
高齢者人口の増加には大きな地域差がある。
(切れ目のない)良質な医療サービスを。

医療は外来・入院・在宅という3つの場所が前提である。
在宅の中に施設と居宅が入る。
入院から在宅(施設は介護施設にするのか居住系施設にするのか)

地域医療構想の手順
1)2025年の地域ごとの医療需要を推計する(病床の必要量)
2)医療機関は裸になる(病床機能報告)
3)関係者が地域最適化に向けて試行錯誤(調整会議)

医療受療率×推計人口=推計患者数
という式で推計している。

医療資源投入量の推移(入院2-3日で落ち着き、その後は一定水準)
 ※ 医療資源がすべて点数換算されている

病床機能報告:病棟単位で「現状」と「今後の方向」を報告するもの
「定性的で、もやっとしていて選びにくい」という声があるので定量的な指標も検討中?

「現状」と「将来推計」は異なるもの。

「調整会議」を行う。これは医療計画の一部。(医療法が根拠)
都道府県医療審議会が最高機関(都道府県単位の会議)

地域医療構想調整会議は構想区域になる。
圏域連携会議が二次医療圏。

医療計画の見直し「基準病床数」の算定式の見直し
地域医療構想調整会議において議論する内容および進め方
医療介護連携:医療計画5年、介護計画3年だったが、医療計画を6年毎に策定となったので、医療介護連携が進む?

平成30年度に横並びスタート!
 医療介護相互確保法
 改正医療法
 改正介護保険法

診療報酬制度にもリンクしている。
内閣財務省が目を光らせている。(ホントにやっとんのか!?と)
都道府県知事がちゃんとやっとんのか、という権限行使についても。
きちんと話し合いましょう。

医療政策の全体像

医療における3つの層:「現場」と「政策」と「経営」
「現場」と「政策」の間に「経営」がある。
しかし経営についての「公用語」がない。経営はお金だけじゃない。

「舟ごと滝に向かう」という危険性。
地域の当事者たちが同じ船に乗っているという意識。

地域に必要な医療は「誰がやってもいい」時代。
地域住民から選ばれ続けることが重要。


異文化コミュニケーションである。
国と都道府県、保健所は「行政語」(文書)でコミュニケートする。
医療者は「医療語」、つなげるために必要なのは理解と信頼。

制度を社会の変化に適合させるためにどうしたらよいのか。

医療法の歴史。地域を取り込み、誘導している(?)。
 改革の流れは平成18年から継続している。

医療法と「進撃の巨人」
(診療報酬のマイナス改訂を50メートル級の巨人になぞらえていた)

慢性期から管理、介護へつなぎこむ部分をもっと精緻に。

アクセス:時間距離・山間部には「交通強者」が存在する。
 僻地(山間部)には交通強者が交通弱者となる。

質とコスト
「質を落とすことなく、より費用効果的なサービスへ」

社会背景や文化から脳卒中・AMI、認知症へ。
 そもそも「ならない」ようにするには?
急性期は「選ばれし者のみの世界」=血みどろ
地域に出ないといけない分野は、地域の中にある。

人口規模と医療機関の関係。
「やりたいこと」というよりは「地域に選ばれること」
地域内シェアの拡大、差別化

連携のために必要なこと
・自分たちは何者か:理念
・地域に何が必要か:病床機能報告、地域医療構想、地域との対話、選択と集中
・自分たちは何者かを知ってもらうこと:

日本の未来を創るには
・まちづくりと共に医療介護を作る
・技術革新と共に医療介護を作る
・アウトカムは住民

キーワード「当事者意識」


講演2)「地域医療構想地域包括ケア ~実行性ある計画のための医療者の役割~」

産業医科大学 医学部 公衆衛生学教室
松田晋哉先生

地域医療構想とは:

 地域医療全体を俯瞰した形での、合意形成

 医療機関は地域における自院内の病床機能を
 データにもとづいて客観的に把握し、
 自院の将来像を描くことができる。

これから情報公開は更に進む。
国が一本で「これでやりなさい」というのは、もうない。

地域医療構想の検討手順
 策定ガイドラインでは先に数字を決める?
 福岡県では逆にした。
 先に地域医療構想調整会議を4回、しっかり話し合った。
 それを集約して、県に答申した。

第7次医療計画(平成30年)
在宅医療の必要量を書きこまなくてはならない。
 介護保険事業計画(地域包括ケア計画)→慢性期のことを話し合う必要性

慢性期がうまくいかないと急性期はうまくいかない
「急性期」のみが医療だった時代は終わった。

急性期、慢性期、介護保険を行ったり来たりする時代。
それをどうするか。データなしではできない。
それを考え実行するための地域医療構想である。


間違えてはいけないこと
・病床削減が地域医療構想の目的ではない

機能別病床数の考え方
・高度急性期+急性期、急性期+回復期の重なりを考慮した推計
・高度急性期・急性期は専門医の研修指定施設との関係を考える必要がある。
  大学医学部との調整
  やりすぎると地域にニーズがあるのに麻酔科医・外科医がいなくなっては困る。
  人材育成と病床機能は密接に結びついている。
・回復期病床(地域包括ケア病床)の配置は、急性期病院および診療所・介護施設
 との連携のしやすさを考慮
  地域包括ケアとは中学校の区域ぐらい。調整会議が必要。
・療養病床数は介護および在宅医療の状況に依存
  在宅医療の提供量の現実的な推計
  (人口密度が低い北部地域では在宅医療は困難、実現可能な計画を)
  看護師・介護職の確保可能性

慢性期病床と介護施設、在宅が、重なる領域がある。

DPCデータの検討
1)欠けている機能はないか?
2)病院機能は年度間で安定しているか?
3)圏域内の各病院の機能分化はどうか?

NDBデータの検討
当該機能について、各医療圏(構想区域)毎の自己完結率は?
不都合はないか?など。

年齢調整標準化レセプト出現率

人口推移の検討。
過去だけでは未来はわからない。
が、未来は、人口構成でかなりわかる。

医療介護職の確保。基金を使うのか。
施設が重要な地域、人が重要な地域。

肺炎・骨折(+尿路感染症)は75歳以上の高齢者に多く発生する。
既に要介護状態にある高齢者も多い。

専門調査会推計:一定の仮定のもとに患者数の推計を行った。
 仮定は仮定。「療養病床入院受療率」の都道府県格差を縮小。

療養病床にはたくさんの社会的入院がいる?
いやそんなことはない。
介護保険が始まって16年、平均年齢も10歳上昇、かつてのような老人臭病院はない。
「慢性期は無駄な医療」という思い込みを捨てること。

傷病ごとの推計。
C1、C2、C3設定の基本となった医療資源投入量(中央値)の推移の分析結果。
急性期と回復期の区分点(変曲点)が2-3日。
病床稼働率70%で推移する?

病床稼働率が低い地域(既に患者がいない:人口減)

地域医療構想調整会議では「望ましい医療介護サービス提供体制」の共有。
地域ごとの合意形成を行うことが必要。

福岡での実施例。
自分たちの頭と手を使う。
医療の機能を変えるのはそれぞれの医療機関。
どんな医療施設でも無くなると医療水準が下がる。
存続のために何をしてもらうか。

医療提供体制・課題のチェックリスト
例)自己完結率・患者流出入の評価

患者流出入の状況など
DPC診療実績:対応できているか、量は十分か
福岡県素案(HP参照)

一つの構想だけではうまくいかない可能性が高い。
複数のシナリオを記述しておく。

看護師・介護士・OT/PT
ご主人が車を運転すると外来に行ける。
ご主人が亡くなると診療所への通院が不可能となる。

誤嚥性肺炎ばかり?
要支援・要介護状態の患者さんに発生する肺炎や骨折。
それを受け入れる地域包括ケア病床。

看護師さんの卒後10年。
急性期のみならず慢性期、包括ケア病床、精神への勤務。

医療計画は机上の空論でした。
シンクタンクに丸投げして、その数字が解釈できないのでは意味がない。

基準病床数の推計と、地域医療構想の推計、
もともとの計算の考え方が異なるので、無理して合わせる必要はないのでは?
基準病床数に意味があるのなら、6回の医療計画の中で収斂してきているのではないか?

都道府県知事が何ができるのか?そんなに何もできない。
そこにナーバスにならない方がよい。

慢性期および地域包括ケアの対応。
沖縄は療養が弱い。
「医療区分1」の患者の70%を退院させた際にはどうなるのか?

医療区分1の7割が女性。看護師によると半分は退院可能
だが家族の受け入れが困難なために退院できない。

在宅はそんなに甘くない。
訪問診療「認知症+がん」の方が在宅になってしまう。

在宅の4,5には訪問看護が入っていない。
 → 介護の医療対応が弱すぎる。

ケアマネジメントが給付管理になってしまっている。
医療ニーズが多い患者には看護的な管理が必要。
(予防可能・誤嚥性肺炎なら嚥下訓練)

介護へ、医療側から、予防的なケアを入り込む。
訪問看護の密度が異なる。

医療・介護を総合的に考えることの重要性。
脳梗塞のために急性期病院で入院治療を受けた患者の入院前後6か月サービス利用状況調査では、入院時に20%が認知症。40%が入院前半年に、介護保険を利用している。

階層モデルからネットワークモデルへ。

介護保険事業計画との整合性が必要。
バラバラではダメ。琉球大学で分析する?

データブック、年度ごとの更新、フォローアップの可能。
医療費の適正計画というのは削減だけではない。

100円払って200円のサービスを受けているのが医療。
医療崩壊で被害を被るのは住民、国民。

地域公衆衛生活動(三師会、看護協会)の復権を。

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以下、質疑応答の部分は省略します。


感想です。
ニュースでは「病床数」の部分ばかりクローズアップされますが
病床数以上に、医療提供体制について問われている、
また、医療と介護との接続、病気と生活との接続が課題であるという
印象を受けました。

沖縄県では、もうすぐパブリックコメントを募集するそうです。

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2014年11月18日 (火)

北部医療の現状についてのシンポジウム

久しぶりの更新です。
12月6日(土)に名護市と名護市各種団体女性代表ネットワーク協議会(女性ネット)の主催でシンポジウムが開催されますので、そのご案内です。

Photo

pdfファイルはこちら
「sympoH26.pdf」をダウンロード

まずは、地域の方々に現状を知っていただきたいと思います。

地域の医療の中で、この10年、解決されていない課題もあります。
何もしていないから、今も解決していない、という訳ではありません。
これだけのことが、されてきている、でも今にいたるまで解決はしていない、のです。

地域の医療の問題は、地方自治の問題と直結しています。
ですけれど私は医療問題をすぐさま「政治問題」にしたくない、と考えています。
為政者が変わろうと変わるまいと、医療問題は医療問題です。

この地域に、この地域で、日々を暮らし続けていくために、できること、というのは何でしょう。

地域の方々に会場に足をお運びいただいて、一緒に考えていただけたら、と思います。

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2010年12月14日 (火)

「とうとう君も、この戦線から離脱するのか」

医師不足型の地域医療崩壊にまつわる、小話です。

* 以下は事実を元にしたフィクションです。事実そのままではありません。

・・・・・・☆・・・・・・☆・・・・・・☆・・・・・・☆・・・・・・☆・・・・・・
夜の病院、医局での立ち話。

思うところあって、一人の医師に声をかけた。
「病院を辞めようと考えている」という趣旨の話が返ってきた。
それを危惧して、声をかけたのだ。
やっぱり、そうなのか。

できれば辞めて欲しくない、というメッセージを伝えることはできる。
しかし、辞めるな、辞めない方が絶対いい、なんて私には言えない。
何か材料を見つけ、もう少し一緒に考えることはできるかもしれないけれど、
最終的には本人の人生であり、去就は本人の決断。

迷いがない訳はないだろう。
が、こればかりは本人が悩んで迷って、決めるしかない。
・・・などと思いつつ、とにかく、話を聞いていた。

そうしたら、書棚から小松秀樹先生の「医療崩壊」を取り出して
「立ち去り型サボタージュ」と題された章を開いて見せてくれた。
何度も繰り返し読んだに違いない、慣れた手つきで。
そして

「自分はこれをするまい、と思ってきたんですが」

と言った。

万感胸に迫る言葉。
そう。
私たちは、地域の医療崩壊をくい止める戦闘の最前線で、共に戦ってきている。
その医師は私にとって、互いに励ましあいながら戦ってきた仲間たちの一人、
欠けがえのない戦友の一人である。

しかし・・・一人、そしてまた一人。
櫛の歯が抜けるように、戦い半ばで前線から姿を消していった元同僚、
かつての戦友たちの姿が脳裏をよぎった。

とうとう君も、この戦線から離脱するのか。
君までもが、いなくなってしまうのか。

君が既に負傷しているのは知っていた。
だから、できることなら・・・私は、君を守りたかった。
しかし私は何の権限もない、他科(病理診断科)の医師にすぎない。
私にできる範囲で、君と家族の幸せを願い、そのために画策してきたつもり。
かなり遠回りだったかもしれないけれど、間に合うこと、届くこと、を願っていた。

だけど、やっぱり・・・いや、ついに、この日がきてしまったのか。
君は、辞める、という決断をくだすのだろうか・・・。

・・・・・・☆・・・・・・☆・・・・・・☆・・・・・・☆・・・・・・☆・・・・・・

地域の医療崩壊をくい止める戦いは、すなわち、地域の患者さんたちの命を守る戦い。
患者さんと、その家族が発する「助けてください!」という声が医師に届く。
声なき叫び声を、身体が発することだってある。
その声を無視できない、助けられる命を助けたい、という医師たちの使命感に
支えられている戦い。
目の前に患者さんがやってくる限り、医師たちは患者さんと共に、患者さんの
ためと信じて、病気と、死と、戦い続ける。

実際に病気と戦うのは患者さん本人、患者さんの身体だ。
医師自身の身体ではない。
患者さんの生死を賭けた戦いに、医師は参謀、司令官、時には一兵卒となって加わる。
なのに。
時々、医師集団そのものが死の行軍を命じられた部隊のように思えることがある。

患者さんの病気との戦いに、医師が自分自身の命をかけるなんて間違っている。
文字通り身体を壊すまで、死ぬまで戦ってしまってはいけない、絶対に。
そんなのは本末転倒だと思うし、美談でもなんでもない。
医師がいなくなってしまっては、次の患者が助けられなくなる。

しかし、現実には身の危険を察知し不本意ながら前線を去る医師が後をたたない。
去って行った医師のその後が、傍目に幸せであるとは限らないのも恐ろしい。
気づいたら別の前線に送り込まれていて抜けられなくなっていた、という医師。
望むと望まざるとに関わらず、転戦に次ぐ転戦をくり返している医師。

どうして、こんなことになってしまっているのだろう。

病院はまるで、戦力の低下を認めることができないままに、戦争を継続しようと
している軍隊のようだ。
「どこで妥協するか」というのは戦略の要諦、引き際を間違った軍隊は大敗を喫する。

いくら撤退戦が難しいとしても、ここまで戦力がダウンした状態では、戦線を縮小し
撤退すべきところは撤退するしかないと思うのだが。

・・・・・・☆・・・・・・☆・・・・・・☆・・・・・・☆・・・・・・☆・・・・・・

病院の医療現場を軍や戦争にたとえるのは適切でないと感じられる方もおられる
かもしれませんが、あくまでも個人的好み(??)による比喩にすぎません。
ご容赦ください。

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2010年11月12日 (金)

母子保健推進員さんたちの定例会

先日、母子保健推進さんたちの定例会にて講演をさせていただきました。

新聞記事にもなったので、私の写真を抜いて(・・・恥ずかしいもん)記事の文章のみ、こちらに転載させていだきます。

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「地域医療を守ろう」 大城医師、母子保健定例会で講演

2010年11月11日 琉球新報

【名護】名護市母子保健推進員の11月定例会が9日、労働福祉センターで開かれ、県立北部病院病理科の大城真理子医師による「地域を守ろう! お医者さん を守ろう!―地域医療の現状」と題した講演会があった。医師や看護師不足に悩まされる同病院や北部地域の医療の現状が伝えられ、参加した推進員らは真剣な 表情で聞き入っていた。

 大城医師は(1)コンビニ受診を控えよう(2)かかりつけ医(2人主治医制)を持とう(3)お医者さんに感謝の気持ちを伝えよう―のテーマで講演した。
 北部病院の役割として、小さな診療所などで治療できない高度な医療を提供することを挙げ、入院や手術が必要な病気などは同病院で対応し、それ以外の軽度 な症状の病気は診療所などで受診する機能分担の必要性を訴えた。同病院に患者が集中することで、平日から3、4時間待ちという事態が発生している状況もあ るという。
 医師の現状は、少ない人数で入院患者から救急、外来までを診ている実態があるといい、「無理をしながら救急医療をやっている現状がある。医師も疲れて辞めていく人もおり、医師不足につながる悪循環もある」と説明した。
 その意味で休日や夜間に軽度の症状で救急外来を受診する「コンビニ受診」を控えることと、同病院での主治医のほかに地域の開業医などのかかりつけ医を持つ大切さを呼び掛けた。
 また、同病院ではがん治療など高度な医療を提供しているが、中には手術は中南部の大病院で受けるという患者もおり、「できないことももちろんあるが、北 部でできることはここでやってほしい。このような状況が続くと北部で手術をすることができなくなる。地域の病院を自らいらなくしてしまう」と懸念を示し た。
 そのほか、医者と患者も人間関係が大切だと話した。

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それから、twitterに日記代わりに「つぶやいた」ことも、Twilogからこちらに転載しておきますね。

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2010年11月09日(火)

寝る前に、市の母子保健推進員さんたちに会って話したことなどを、とりとめもなく連続ツイートしてみる。何をしゃべったか、おぼえてるうちに。

posted at 23:44:20

母子保健推進員さん、略して母推さんっていうのは、市から依頼され て乳幼児健診を手伝ったり未受診の子の親御さんに健診を受けるように勧めたり、っていうことをする地域の女性たち。定例会に呼んでいただいて「地域を守ろ う、お医者さんを守ろう」っていうタイトルで話をさせてもらった。

posted at 23:45:38

今日は20人くらい集まってて、年齢層としては子育て最中のお母さ んから、おばあちゃん世代まで、っていう感じかな。特別に母推さんたち向けの話、というよりは、お互いに地域住民の一人という立場で話をしたつもり。私 だって子供たちの健診では母推さんたちにお世話になった立場なんだし。

posted at 23:48:05

私は自分や家族が病院を利用する立場でもあるけど、病院の中で働い てもいるから、病院の中がどうなってるか、同僚たちがどんなに大変か、ってのを、すごくよく知ってる。そういう私の目から見た、お医者さんたちが何をどう 感じてるのか、ってのを母推さんたちに知ってもらうつもりで、話をした。

posted at 23:53:36

やんばるの産業まつりで配った、北部広域事務所が作ったチラシの残 りを今回、資料として配布してもらった。資料に書いてあるのは 1.コンビニ受診を控えよう 2.かかりつけ医を持とう(2人主治医制) 3.お医者さん に感謝の気持ちを伝えよう の3点。裏は#8000の解説。

posted at 23:55:10

1について書いてみる。コンビニ受診、っていうのが何かって。ウチの病院は24時間365日救急外来をやっていて、コンビニと同じようにいつでも利用できる、と思われてる。コンビニってのはいつでも行きさえすればカップヌードルが買えたりする、便利な場所。

posted at 23:56:31

だけど、もしウチの病院の救急外来に1歳の子を連れてきたら、予診で研修医が診ることもあるかもしれないけど、実際に診療にあたるのはコンビニの店員ならぬ小児科医。さて、ここで質問。24時間小児救急をやっている、ウチの病院に小児科医は何人いるでしょう?

posted at 23:58:01

答えは、4人。私はコンビニ業界のことはぜんぜん詳しくないけど、店員4人で24時間365日お店をやってる、っていうコンビニは、業界で普通にあるのかなぁ。たぶん普通のコンビニってバイトを雇ったりしてて、もっともっと実働人数がいるんじゃないかと思う。

posted at 23:58:54

それに4人の小児科医は救急外来だけをやってる訳じゃない。平日午 前午後は外来診療もやってるし、入院患者の主治医も兼任している。確か小児病棟って40床はあったから、満床だと単純に割って医師一人が10人、重症で入 院しなきゃならないような子を、主治医として受け持ってるってことになる。

posted at 23:59:55

でも病院とコンビニの何が一番違うのか、っていうのは、ヒトの命を預かる、ということ。ヒトの命は誰でもが助けられる訳じゃないし、朝までもたない命があるかもしれないから、救急病院は24時間救急をやってる。

posted at 00:01:57

救急、という同じ言葉を使っていても、患者側と医療者側ではその意 味、中身が違ってる。救急外来を「24時間いつでも(すぐに or 待たずに)医者に診てもらえるところ」と思っているのは患者側。では、医療者側は?っていうと「朝までもたないかもしれない命を助けるところ」と思ってい る。

posted at 00:05:18

医者にとって、救急外来は「24時間外来」ではなく「救命救急外来」だってこと。「朝まで持たないかもしれない命」が病院にやってきた時に頑張って助けるために、医者は病院にいる。

posted at 00:06:34

救急外来には「朝まで命を持たせる」ための薬や検査しかない。検査も十分にできないし、薬だって朝までの分しか渡せない。ウチの病院の救急外来に来た患者さんの、約半数はそういう軽症。といっても、こういう統計は結果論でしかないけれど。

posted at 00:09:05

・・・なんて話を、もっともっと詳しく、延々と1時間近くやってしまった。でもその後の質疑応答、母推さんたちの感想も面白かった。すっかり眠たいので、寝ます。おやすみなさい~。

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更に。あるクローズドなSNSで「2人主治医制ってなんですか」って質問されたので、私の回答をこちらにも書いておきます。

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「2人主治医制」がどういうことかっていうと。地域の患者さんにとって「主治医」がウチの病院、つまり急性期総合病院の医師、だって例は多いです。
古くからある病院なので、ウチの病院の医師を「主治医」と思ってる人が多くて。
医師が退職して変わっても、主治医は「病院の先生」。

でもそういう人って、ただ「前からずっとお世話になってるから」っていうだけの理由で、ウチの病院の外来にかかり続けていることも多いんです。

たとえば整形(腰痛)と内科(高血圧)の外来がいっぺんに済むから、という理由でウチの病院の外来通院を続けている。医療的にウチの病院の外来通院が必要か、っていうと、そういう訳ではない。

申し訳ないけど、そういう人たちの(特に内科の)外来通院を、今の当院は制限せざるをえない状況にあります。そこで「診療所・クリニック・医院」を「かかりつけ医」にしてもらうべく、紹介状を持ってそっちに行ってもらう。
より高度な医療を受けるための「紹介」ではなく、地域の開業医さんなどで当院と同等の医療を行ってもらうためにつなぐ、いわゆる「逆紹介」。

そうやって逆紹介された患者さんに、ウチの病院に切られた、と思わないで欲しいんです。
「診療所・クリニック・医院」の「かかりつけ医」が「一人目の主治医」。
で、入院治療が必要になったり、重症になったりした時には「二人目の主治医」としての、ウチの病院を頼りにして欲しい。
そういう、地域の病診連携を患者さんに理解してもらうための「2人主治医制」です。

参加者のお一人から質問がありました。
「わたしはずっと喘息があって、病院に通院してきたけれど、開業医さんに紹介されました。開業医さんは昼しかやってないけど、喘息の発作は夜中に起きるんです。発作を起こしたらどうしよう、というのがとても 心配です」って。

夜中の喘息発作の時は、どうぞ遠慮なくウチの病院の救急外来に来て下さい、って答えました。
それが「2人主治医制」の「2人」ってことですよ、開業医さんだけじゃなく、病院にも主治医がいる、って思って下さい、って。
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#8000の話も書いておきたいのですが、それはまたいつか、どこかで。
とても長くなってしまったので、今日はここまでにしておきます。

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