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2014年3月19日 (水)

平成26年度診療報酬改定、病理の部分(アンド愚痴)

平成26年度診療報酬改定の詳細が発表されました。
厚生労働省のHPではこちらになります。(リンク先はpdfです。7.283kbです。重いです。)

病理・細胞診に関しては今回は説明資料の中では1ページだけです。
そのページ(全体版の126ページ)だけを、貼らせていただきます。

H26


病理単体部分での大筋の変更はないようです。
免染で1600点加算可能な疾患が増えた(肺悪性腫瘍と悪性黒色腫)ことと、液状化検体細胞診加算が初回からとれるようになった(でも85点が18点に引き下げられた)というのが改定事項です。


☆      ☆      ☆

あとはお暇な方のみ、おつきあいください、という専門的な細かい話(愚痴?)です。

今回の改訂では、病理の細かい部分よりも、前立腺針生検や乳腺腫瘍摘出(5cm未満)、結腸ポリペク、子宮頚部切除などが「短期滞在手術基本料3(全診療報酬点数が包括)」になった方が、病院としての影響は大きいのかな、などと思いました。(上記リンク先のp27-29参照。)
これは病院ごとにものすごく事情が異なると思いますが、これらの件数が多い病院は、現状と4月以降との比較をする必要があると思います。たとえば、2泊3日ポリペク入院のパスがあるのなら、1泊2日に短縮できるならした方がいいのかも、とかいう話です。

で、病理側の自律的な話としては、この点数でどこまでやるのが「良心的か」という話になってくるのかな…とか。

どーせ包括だから病理診断をしない(病理に出しても出さなくても診療報酬は同じだから)というのは、論外です。
こういう病院が出たら、厳しくペナルティを課して欲しいと思います。
手術で採取されたすべての検体は病理診断されることが原則(もちろん例外はあります)と私は思います。

でも、検査数が過度に多いのも、問題なんです。
以下はその愚痴となります。

一度の入院、一人の患者さんで、24本の前立腺生検とか、30か所の大腸ポリペクとか、病理に出されても(この数字は誇張です、私自身は24本とか30か所とか診てませんよ、念のため)、もしすべてに癌があったら全部に細かく病理診断を記載して、切除断端のどこから何ミリかを計測して(これって自動計測じゃないですよ?私は顕微鏡とスライドガラスの間にプラスチックものさし挟んで1mmとか500μmとかって目算で計測してます)というのは、診断する側としては、一例一例に時間がかかってかかってたまらないです。

採取する臨床医には「ちゃんとねらって生検してください、スクリーニングを病理に丸投げしないでください、病理医には全例の厳密なスクリーニングに対応できるマンパワーないです」ってお願いしたくなります。

正確な診断、精確な診断、というのを何か、はき違えてないかな…と。
医療の質の向上を求めておられるつもりかもしれませんが、そこまで、できないんで…。

そもそも、癌であるか否かの判定にすら、むっちゃ悩むんですよ。
その上に、どこまで病理組織の細かい細かい項目を見ていくのが病理医の義務となっていくのか。
たとえば複数の癌がある場合、inicial diagnosisでは代表的な2箇所についてだけ記載し、それ以上の細かい診断が必要が場合は臨床側の求めに応じて追加報告で対応する、とかじゃダメなのかな…と思ったりします。
こういうのは取扱い規約とかガイドライン的な話になりますけどね。

すべての病理診断が、すべての患者さんを対象とした人体疾病研究、という訳じゃないんですから。
病理診断は、採取される患者さんの正確な病態把握が、第一の目的です。

特定の症例についてのみ、特に細かい(特定の)病理情報を集めたい、というのなら話は別なんです。
ちゃんとそれなりの手続きを経て(関係者の同意と納得も得て)、やればいいと思います。


日本の病理診断医の多くは「一般病理医」です。
国内で数十人しかいないような、特定臓器を専門とする専門的病理診断医と同等の診断水準を、国内全ての病理検体について、またすべての病理診断医に求めるのは、どう考えても無理があると思うんです。
ですけれど、現状ではその水準を求められる場面が多すぎて、病理診断医が疲弊する原因となっています。

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