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2012年3月31日 (土)

転職します

本日付で、現在の勤務先を退職します。
病院病理医から、大学教員、それも公立大学文系学部の教員への転身となります。
職務は、診療情報管理士の教育、です。

既に昨年、非常勤講師として教えた大学でもありますし、4月以降も現在の勤務先にて非常勤病理医として病理診断業務を継続しますので(病理専門医、細胞診専門医を辞めるつもりはありません)常勤と非常勤として働く場を交換した、みたいに考えていただけると理解しやすいかとも思います。

転職の理由はたくさんあります。長文ですよ~。

1.ワークライフバランス

子供たちが小学生、中学生として家にいる今のうちに、もう少し家庭に時間を割きたいと思いました。
大学教員の方が現在の公立病院常勤勤務医という職務よりも、時間が自由になり子供と過ごす時間を保てる、という判断です。

2.当院における病理検体の減少と院内での役割の変化

病理検体数が年々減少している病院で、病院の中で病理診断医としてのみ働き続けることに疑問を感じていました。各種委員会の委員、病院機能評価受審準備や医療安全管理の仕事も引き受けたりしていたのですが、このままずっと院内に留まり続けることに疑問を持ち、魅力的な転職先を探していました。

3.教鞭をとることが楽しくなった

診療情報管理士の資格取得のための教育課程の中で、医師が教えなければならない教科、というのが決められており、私はそれらの科目を教える教員となります。

当初、非常勤講師として教科の一部を教えるよう声がかかった時、なんかものすごく広範囲だし、教え始めるまでは苦痛だったのですが、いざ、やってみたら講義することが実に楽しかったんです。(準備は大変でしたけど!)学生たちの反応も良く、また教える内容も、私に合っている、と感じました。

4.リベラルアーツの魅力

母校で後輩に教えたり、看護学校で病理を教えたりするのも結構、楽しんでいるのですが、リベラルアーツを掲げる大学の文系の学部だけあって雰囲気が随分、違いました。
医学系、看護系の学校って、どうしても職業訓練学校的な面がありますし、私も職業に直結する、就職した際に役に立つ講義をするよう努力してきたつもりです。

でも、「役に立たない無駄なこと」を切り詰め、切り捨てて要点だけにしぼりこんだ教育って、つまんないんですよ。どうしても。
余計なこと、一見したら関係ないように思えること、遠回りのように見えること、の方がぜったい面白いし、それが本筋とつながって活かすことができるようになると、格段に幅も奥行きも変わってくる。
そういうのって、教養、とも言い換えられると思うんです。

高校3年生だった頃、琉球大学医学部医学科を受験したのは、総合大学の中にある(教養課程などは他の学部と共通の)医学部だったから、というのが大きな理由でした。
専門課程は国公立ならどこも大差ないだろうけど、医科単科大学ではきっと教養課程がつまらない、と思ったのです。説明すると長くなりますが、もともと私は医者になるために医学部を志したのではなく、食いっぱぐれのない研究者/学者になるには医学部に行って医者の資格もとっておくのが一番だろうというのが受験理由でした。
このブログでも古代ギリシャの話とか書いてますけど(笑)個人的な興味と関心は医学という専門分野の枝葉の先よりは、もっと広い所にあるんです。非常勤講師として文系の学部で教えてみて、既に教えてらっしゃる先生方と話して、ここにはリベラルアーツと呼ばれる教育が理想として掲げられていることを実感しました。

ずっと憧れていた、リベラルアーツです。
そういう環境の中に、身を置かせてもらえるなんて、考えただけでワクワクします。

5.診療情報管理士という職種の将来性

まだ資格としての認知度も低く、残念ながら待遇も決して良いとはいえない身分・資格ですけれど、その意義を理解し、大きな将来性、可能性を見出した、というのもあります。
診療情報管理士は、病院事務職員のエリート(良い意味で)となり得る資格、職種です。

市中病院に20年勤務してきて、病院の事務職が専門的に養成されておらず、誰にでも可能な一般職と考えられてon the job trainingのみであることの問題点を痛感してきました。
「医療事務」のbaseがあまりに弱すぎるのです。

これから私は、病院の事務長候補者、病院法人の理事長候補者、を教育するのだと思っています。病院に就職した時点で、広い教養を基礎としつつ、医療についての基本的な知識があれば、病院職員としてのアドバンテージは大きいはずです。将来的に病院にとって役に立つ人材となっていける、優秀な事務職員を輩出するコースにしていきたいです。

6.地域住民としての立ち位置

今いる地域、この地域における医療にこだわってきた人間の一人として、この地域を出て引っ越してまで、病理専門医として働く道を選ぶよりも、この地域内で自分にできることを続ける、という道を私は現時点では、選択しました。
医師として、また、病理専門医資格を活かして転職する、というのであれば遠くに転身する方が容易かもしれません。ですが、今は、引っ越さない、ということで。

7.「公立」という看板へのこだわり

これから働く大学が、「公立大学法人」でなければ、私はもっともっと就職をためらったと思っています。

税金をつぎ込むからにはシャキッとしろよ、というような言い方をするのは容易ですし、私自身そういう言い方をすることもあるのですが…できれば、そういう他人事な上から目線ではなく。
名前に「公」を冠した組織ってのは何のためにあるのか、どこを目指すものなのか、現実的に何ができるのか、というのを中に身を置きながら、考えていたいです。

「公立」の組織に、私は人一倍、関心があるのかもしれません。個人としても、これまで卒業した学校はすべて「(国・県・市を含む)公立」でしたし、職場も公立病院、県立病院でした。「公立」の可能性を、大学に行っても追求できればなぁ、と思っています。


ということで、本日が、足かけ14年勤務した、現在の病院における常勤病理医としての最後の日、ということになります。
別に病理医を辞めるつもりはありませんので(軸足の置き場が変わる、というような認識です)、このブログのタイトルも当面、そのままにしておくつもりですし、病理関連の話題も続けます。

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2012年3月 6日 (火)

平成24年度診療報酬改定、病理の部分

平成24年度診療報酬改定の詳細が発表されました。
病理に関する部分の説明です。厚生労働省のHPから、医科の説明資料の病理関連3ページをこちらに貼らせていただきます。
(3月31日追記:分割版だとこちらの最後3ページです。)

病理診断管理加算の新設、保険医療機関間において連携して病理診断を行った場合も病理診断料と病理診断管理加算が算定できるようになったこと、液状化検体細胞診加算の新設、が主な改定事項です。

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