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2011年7月29日 (金)

追悼・辻本好子さん

COMLの理事長、辻本好子さんが亡くなられました。
「お別れ会」も開催されるようですが、私は行くことができないので・・・。
あるSNSで書いた追悼文に、加筆修正したものをこちらに公開しておきます。

「ささえあい医療人権センターCOML」の活動は、患者の主体的な医療への参加を求めつつ、患者と医療者が対立するのではなく、対話を重ね相互理解をうながす架け橋を作るようなものだと思っています。辻本さんはそのCOMLの中心人物でした。

個人的に親しかったという訳では決して、ありませんが、辻本さんにはかなり影響を受けた病理医(の一人?)です。
1997年の病理学会の、市民公開シンポジウムで辻本さんがいらして発言されたのが、私にとっての辻本さんとの出会いでした。

臨床医は医療を行ったら患者さんに「ありがとう」と言ってもらえますが、直接患者さんに接しない病理医は、そういう機会がありません。
病理標本だけをみて、そのむこうの患者の存在を忘れていることさえあったり。
標本の所見を読んで診断をするだけ、臨床的意義は二の次となりかねないのです。
そんな病理医集団である病理学会に辻本さんはやってきて「精確な診断をありがとうございます」「みなさんが大事な診断をしてくれるから治療ができるのです」と患者代表として発表されました。
辻本さんは、確かに病理医と患者をつなぐ役割をしてらした、と思います。

シンポジウムが終わった後の、小規模な懇親会に誘われてご一緒させていただきました。
辻本さんと直接、何かをお話した記憶は残念ながらありません。
ですけれど、酔っ払った病理医たち(苦笑)にさまざまなことを言われても、微笑みながら受け流し、凛としてらした辻本さんの姿勢は、その前のシンポジウムでの姿以上に私の記憶に残っています。芯のしっかりした大人の女性という感じがして、憧れました。ものすごく強いようでいて、なんて柔らかで温かいんだろう、誰も来たことがない所に飛び込んで誰もしたことがないことを貫き続けていく女性というのはこんな風なんだ、素敵だなぁ、と。
男性ばかりの場の中で女性が辻本さんと私だけだった、ということもあるかもしれませんが、辻本さんの私への優しい眼差し、若輩の私に視線を送り、その瞳で示してくださった配慮と共感は、言葉を越えた心の糧として今も私の中に残り、私を支え続けてくれています。

その後も辻本さんは病理学会にいらしては「患者サイドが病理医に求めること」をくり返し発言され、「医療の中の病理診断」が実際には「患者のための病理診断」である、というのを多くの病理医の頭に刷り込んでくださった、と私は評価しています。
病理「学者」であることが何よりも重要、医学という象牙の塔に閉じこもってればいいという考えが主流を占めていた病理学会に、外からやってきて病理「医」集団なのだという自覚を促し、日本の病理学会とその構成員である病理医の意識を大きく変えた、功労者のお一人だと私は思っています。

辻本さんと出会ったおかげで私は、COMLの活動に注目するようになりました。
「新・医者にかかる10箇条」
など、病院でも活用させていただきましたし。
患者自らの自己決定を尊重する、そのために患者も学ぶ、という姿勢を明瞭にしたCOMLは、時代を先取りしていたと思いますし、時代の求めにも合っていると私は思います。

闘病のことを知り、そう遠くない日に、こういう時が来るのだと思っていました。
もっともっと長生きしてあちこちで活動して欲しかったけれど。
ブログを読むと、最後まで辻本さんは辻本さんだったのだなぁ、と思わされます。

辻本さんが亡くなられても、彼女の精神は多くの人の中に残されています。彼女が尽力してきたことを、私たちがもっと裾野を広げつつ、幾分かでも受け継いでいきたいです。

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コメント

澤田石です。色平哲郎先生の日経メディカルブログに辻本さん追悼文があり、私コメントしました。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/irohira/201106/520488.html

COML事務局長の山口さんの講演が8/19に東京にて。http://t.co/nOg7UV1

辻本好子さんのご冥福をお祈り申し上げます

投稿: 澤田石 順 | 2011年8月 5日 (金) 23時41分

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