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2011年1月31日 (月)

誤診をしてしまった時

誤診はゼロにできない」という、しばらく前の記事に、今朝、コメントを一つ頂戴しました。
名前欄などに記入がないコメントで、タイムスタンプは2011/01/31 5:38となっています。

「誤診を 素直にあやまりましたか? 訴訟が怖くて 逃げの姿勢でしたか?」

という質問形式での、コメントです。こちらで質問に答えさせていただきます。

どの誤診のことをおっしゃっているのかがコメントの文章だけでは解りにくいのですが、上記の本文中に書いている私自身の「生涯忘れられない誤診」についてであれば、誤診が判明した時点で臨床医にすぐに連絡しています。

それから「訴訟が怖くて逃げの姿勢でしたか?」という表現にはなんだか意地悪な印象を受けます。私の考えすぎだったら申し訳ありませんが。
確かに私は怖がりの臆病者ですので、訴訟を起こされること、は怖い、です。
もし訴えられたらどうしよう、と思います。
でも、そんな私であっても、誤診イコール訴訟、と即座に連想する訳ではありません。
質問された方にとっては、意外なことかもしれませんが。

実際問題として「大変だ、誤診をしてしまった」と気づいたら、次には「患者さんへの影響は?」というのが真っ先に思い浮かびます。
私がしてしまった誤診による悪影響から、患者さんを守らなくては、という思いが、その次の行動を起こす原動力となります。
まずは患者さんのことが大事、です。多くの医師がそうではないかと思います。

病理医の立場では、まず臨床医(主治医)に連絡し、診断が間違っていたことをストレートに告げて、お詫びします。診断の訂正が必要かどうかを尋ね、必要ならば追加報告の形で、病理診断報告書を再発行します。
間違っていた診断を破棄するのではなく、あくまでも追加報告ですので、誤った診断名が書かれた病理診断報告書も残ります。証拠隠滅はできません。私自身のやり方がこうだというだけですので、違うやり方をしている病理医もいるとは思います。

誤診など、世の中にない方がいいに決まっています。
でも、「これまで私は誤診したことがありません」と言えるのは診断経験の乏しい医師か、自分自身の誤診に気づいてすらいない医師でしょう。
「これから一生わたしは一度たりとも誤診しません」と宣言する医師がもしいたとしたら、その医師を私は信用しません。その医師の気迫は評価するかもしれませんが。

ただし。
わたし自身は訴訟に至った誤診を経験していません。
自分の誤診が主因の訴訟を経験していれば、トラウマとなってフラッシュバックを起こすのかもしれません。そうなった時にも自分が職業人として現在同様の姿勢を堅持できるのだろうか、と考えたりもします。答えは出ません。

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