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2009年3月20日 (金)

古代ギリシャの墓碑(1)

ギリシャの国立考古学博物館で、たくさんの古い墓碑を見てきました。
もともとギリシャ神話が好きなので、神話に登場する神の彫像などを見に行ったつもりだったのに、私の心は完全に墓碑に奪われてしまって、途方もなく長い時間をそこで費やしてしまいました。そのうちの一つをまず紹介します。
Img_2774
紀元前420年ごろ、大理石に彫られた墓碑です。
左側に座った婦人と、右側に立った若い女性が握手をしています。
婦人の憂いに満ちた表情とは対照的に、若い女性は微笑み、優しいまなざしで婦人を見つめています。





Img_2773_3 解説文の写真も一緒に撮って来ました。
墓碑銘にはこう書いてあるのだそうです。
「アリストンとロドリアの娘、アリスティアここに眠る。
 愛しい娘よ、あなたはなんと良い娘だったことでしょう。」

若くして亡くなった娘を悼んだ両親が建てた墓碑だということがわかります。
簡潔な言葉に、子供を失った両親の嘆きが溢れています。

Img_2776_3 それにしても、この死せる娘の表情。
娘の死を惜しむ母の手が、黄泉に向かわんとする娘の手を引きとめているかのようにも見えるのに対し、娘の明るいまなざし、かすかな微笑みは、自らの死を静かに受容しつつ、母を慰めるかのような慈愛をたたえています。
生前と同じ、いや、もしかしたらそれ以上の輝きを放つ、死者の姿。

Img_2777_2 母の表情は娘とは対照的です。
かすかにうつむいたまなざし、わずかにゆがんだ口元。
娘の手を引き寄せながら、呆然としているかのようにも見えます。
悲しみに暮れる母の姿、と思えます。





Img_27741 亡き娘は、片方の手に鳥を持っています。
生者と死者が握手していたり、女性の死者が手に鳥や鏡などを持っていたり、宝石箱を召使に持たせたりしているのは古代ギリシャの墓碑によくある構図です。
鳥を持っていることの意味はわかりませんが、鳥は死の象徴という見方もあるようです。
空を羽ばたくはずの鳥が手の中に捕らえられている、と思ってもいいのでしょうか。



Img_2775_3 二人が手をとりあっていることが、また象徴的です。
生者と死者のあいだにある断絶は、この墓碑にはありません。
生死を越えた人と人との絆が、形として表現されているように思います。
いえ・・・どんなに強い絆で結ばれていようと、生死の断絶が人と人との間にある、ということもこの墓碑は訴えているように思えます。
優しくて残酷で、暖かさと冷たさがあり、明るく美しいのにどこか悲しい。

2400年以上昔の墓碑です。
娘の死を嘆いた両親も、この墓碑を彫った人物もとうにこの世から去って久しいのですけれど、時代を超えて、人の心を動かす力を持っています。

次の日記で、私が最も気に入った墓碑を紹介します。


追記:
この墓碑について書かれたサイトを探してみたら、ありました。
「古代ギリシャの墓碑浮彫りと墓碑銘」 田中咲子氏 (リンク先はpdfファイルです。)

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2009年3月13日 (金)

県知事が病院にやってきた

今日、県知事が病院に来ました。
事前に「短い時間ですが、知事が職員に話をするので、職員は業務に支障のない限り、集まるように」と連絡がありました。

私が病院に勤めて11年、知事が病院職員に話をしに来られるなんて初めて。
異例のことです。
一体どんな話をされるんだろう、とわくわくしながら知事が来る時間を待ちました。

大会議室に知事をお迎えして、まず院長が挨拶。
院長は病院への県財政からの繰り入れ増額を決断してくださったお礼を述べ、職員みなで事業局と一丸となって頑張ります、人材確保が一番の課題です、というような話をしました。
院長が挨拶を終えると知事が率先して拍手してくださり、遅れて私たち職員も拍手しました。そのまま引き続いて知事の挨拶となりましたので、知事の登場にも拍手をしたような感じでした。

以下、知事の話を思い出しながら書いてみます。

知事は、ご苦労さま、みなさんがやっている仕事を高く評価している、だから今の県立病院の医療を末永く続けるための方法を模索している、とまず言われたように記憶しています。

とにかく「末永く続けるため」ということを何度も言われました。

そのために過去に4回、県で計画を立てて経営改善をやったけれど、うまくいかなくて、今度が5回目。
医療を末永く続けるためで、今やっている医療をなくしたいとかそういうことではなく、続けるために、ありとあらゆる手段を検討しようということで、経営形態の話もその中で、あれはできない、これはできないとかはせずに、どういう方法があるのか、一旦は全部、考えてみようという中で出てきたのだ、と。

でも独法化反対の声があるように、それが誤解されて、病院をぶっつぶそうとしているとか、県が医療をやめさせようとしているとか言われているようだが、そんな訳ではない、自分たちがそんなことをするはずもない、くれぐれも誤解しないでください、と言われました。
平成21年度からまずは3年間、県としてお金を入れて、これまでたまった赤字もなくし、3年といっても1年ごとに様子もみながら、その先のことも勉強しながらて考えて、今の段階でもどうやったら末永く今のような医療が続けられるのかをある程度固めておいて、数年後に気がついたら医療を続けられなくなっていたということがないようにしたい、と。
新しい機械も買って、新しい医療をとり入れていけるように、ということも言っておられたかと思います。

自分たちはどうしても那覇にいるから、離島やこちらの細かいのことはわからず、机上の空論になりがち、机上の空論になっていた所もあるかもしれない、だから気づいたことがあったらぜひ教えて欲しい、病院から建設的な意見を出して欲しい、というようなことも言われました。私たち職員の顔を見ながら、一人一人に語りかけるように。

とにかく、誤解しないで、ということを何度も言われました。

知事挨拶の後、職員みなが拍手。
会議室から知事が出て行くとき、また、拍手で送りました。
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以下は私の個人的な感想です。

知事は、県立病院の現状と課題を、正しく認識しておられる、と思いました。
(伝えてくださった方々にお礼が言いたいです!)

今、現に、この地にある医療を、末永く続けること、そしてより良いものに発展させていくこと、が大事なんです。
最大の問題は、経済的、経営的なことから、続けられなくなりそうなこと。
それ以外にも問題はたくさんあるのですが、まずはお金の問題。資金不足。

一番、頑張らなくてはいけないのは、私たち職員。
だから知事は、来てくださったのでしょう。
「病院をつぶそうとしているのではない」と言いに。

「つぶそうとしていないなら、大丈夫さぁ~」と大船に乗った気にはなれません。
県知事がつぶそうとしなくても、この財政状況では、なすがままにしておくだけで県立病院はつぶれます…。
伊関先生の資料から、私のお気に入りの図をここに掲示しておきます。
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