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2008年12月10日 (水)

フォーラム発表内容

女性ネットでのフォーラムでの、私の発表内容です。
長くなりますが、発表で使ったスライドと説明内容の概要をこちらに載せます。前の記事 と重なることも多く、また記憶を頼りに書いているので、話した内容の細かい点は違っているかもしれません。

それと、私は管理職でもなんでもなく、1人の職員にすぎませんが、職員の立場で理解しているレベルのことを地域の人たちと共有したいと思って時間をかけてスライドを作成しました。違う立場からみたら、ココは違ってるんじゃないか、という内容もあるかと思います。それでもブログに載せるのは、フォーラムに来ていた人たちだけではなく、他の人たちにもこの問題を知って欲しいから、です。
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ここまでは大体、スライドを読んでいただければわかる通りです。

4番目のスライドは伊関友伸先生の資料から借用しました。

かつての夕張市立総合病院を「財政破綻型」、休止がまだ記憶に新しい銚子市立総合病院を「医師不足型」の例として説明しました。

5 5番目のこのスライドは、正直、出すかどうか迷ったものです。
私は経済学がとても苦手です。100億などという巨額のお金を想像しようとしても頭が拒否しますし。でも、そんな私でも理解できたのは、県立病院が毎年のように100億円近い一時借入金というのに頼って経営していること、財政破綻寸前というよりは既に財政破綻している、という状態だということです。このままでは危ない、というよりも、既に危機が訪れている、ということです。

6 6番目、このスライドはあくまでも私見です。これを鵜呑みにされても困るような気がしますが、少なくとも私はこう思っている、というものです。

まず、県立病院の収入が低いのは診療報酬の取りこぼしがいっぱいあるからじゃないか、と思うんです。現場にいるとそういう場面を多々、目にします。たとえば、民間病院なら2年毎に改訂される診療報酬の情報を改訂される前に可能な限り仕入れておき、改訂された4月から最大限の診療報酬が得られるように工夫しているのですが、県立病院では事務職、特に診療報酬担当者が2-3年で異動するので、異動前後で引継ぎがちゃんとなされなかったり、4月に初めて診療報酬というものを知るような事務職が担当したりして、とれるはずの収 入もろくにとれないままの状態だったりします。

支出については、前のスライドにいったん戻し、平成18年度から借金の額がものすごくふくれあがっており、それは南部医療センター・こども医療センターを新築したことが大きな原因だと思われていることを説明しました。こども医療センターは県民の署名もあって県内にこども病院が必要ということで作りました。が、こども病院というのはどこの県でも大赤字 で、作るならそれ以外の機能も併設しなくては、と南部医療センターと併設にしたのだと私は理解しています。でも一流ホテルのような豪華な病院を作ってしまって、そのために大きな大きな赤字が出ており、今後もその赤字は続きます。
給与も、全体的に県内民間病院よりも高い水準にあるけれど、医師だけは県内民間水準よりも低いんです。だから民間病院ではなく県立病院を選んで来てくれた常勤産婦人科医は本当に稀有な存在であること、その低い医師給与を更に下げようという計画が県側にあり、そのまま実施されたら医師不足型の崩壊につながりかねないことを言いました。
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悪いことばっかり言うのもナンなので、少しは良いことも、と私からみた病院の長所もスライドにしてあります。ちょっと我田引水ですが。

8 今、検討されている独立行政法人化(独法化)ですが、私もこの仕組みというのはよくわかっておらず、自分でわかっていることだけを話したつもりです。
「自治体からの繰入金(資金援助)が可能」というのは、設立する自治体が資本の半分以上を持つことが決められている、つまり県が設立するのであれば、県単独ではなく他の自治体、つまり北部十二市町村も資本金を(半分以下なら)出すことができる仕組みなのだそうです。そもそも、県と市町村が共同して設立母体になることもできるんですけど、そこまではフォーラムでは言いませんでした。

9 独法化したからといって絶対に良くなるという保証がある訳ではなく、現在の公営企業法全面適用が「ニセ全適」と云われる(権限の移譲がない、などの)状態であるように、独法化についても不安があります。率直に話したつもりです。

10 ここで伊関先生作のスライドです。私はこの図がとても好きです。
自治体病院の存続にはみんなが関わっている、関与する必要がある、というのがよくわかる図です。どこか一つに丸投げしていては問題解決できず、みんなが、それぞれの立場で、できることをしないと、自治体病院は維持できないのだと思います。

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住民にできること、という意味で、兵庫県の「県立柏原病院の小児科を守る会」の活動を紹介しました。当日、プログラムと一緒に絵本も配布したのですが、予定以上の参加者だったため、もらえなかった人もいたようです。

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話は後半の山へ・・・。
もとネタはとある医療に詳しいジャーナリストさんから頂戴したのですが、この地域でいるとしたらこの二つのタイプかな、と思って紹介しました。
ココでは穏当な表現ではありませんが、続くスライドで解説しています。

13一つ目のタイプの住民を説明するのに、私は「地産地消」から入りました。
地産地消を実行している人は多いと思います。フォーラムに締めていった芭蕉布の帯を紹介し、芭蕉布は東京などでは地元の何倍もの価格で取引されていて、もともとは沖縄の庶民の日用品だったのに、地元の人が使わないで高価で手が届かないものになって廃れていってしまうのは残念なので、機会をみつけては着ています。ささやかな地産地消、のつもりで。

だけど、病院も同じことなんです。

たとえば、と実例をあげました。
虫垂炎、と診断したら、中南部の病院で手術します、と紹介状を求めて帰っていく患者さんがいます。こんなところに腕の良い医者がいるはずない、と考えるのは地元についての謙遜のつもりかもしれませんが、私たち医師ができると思っていることすら任せてもらえないのでは、医師としての技術、医師としての腕を信用されていない、バカにされてる、と思います。地元の病院をバカにして、診断だけされたら他地域に手術をしにいく、というのでは地元で手術ができなくなります。「沖縄一の名医」に治療してもらいたいという気持ちはわかりますが、みんながそうして、ただ一人の沖縄一の名医のところに行くようになったら、地元で治療はできません。
確かに地元でできない治療というのもありますから、それは地元じゃなくてどうぞ他の地域に行って治療してください。でもできるだけ「地産地消」だけではなく「地病地療」も心がけていただきたいのです。

14 かといって、軽症で24時間病院に来るのはやめていただきたい、と次のスライドを出しました。
病院はコンビニではない、ということはみなさんおわかりでしょう。
昼は忙しいから夜にでも病院にいくか、というのが「コンビニ受診」といわれる行動だというのは、誰もがわかると思います。
でも実際に問題になるのは、朝からずっとお腹が痛かったけれど夜になっても続いている、どうしよう、夜中になった今、病院に行こうかどうか、という時ですよね。
この答えは後で言いました。

たとえば脳外科。脳外科の先生は2人です。
夜に緊急手術が入ったら、2人とも出てきて手術をして、もし翌日に予定手術や外来が予定されていたら、そのまま続けて働くんです。
夜中に呼び出されて患者さんの診察をしたら、その次の日もそのまま働きます。病院で夜中働いたからといって、朝になったら家に帰って眠れる医師は残念ながらいません。
だから夜中、時間外に受診するのは「急病」だけにして欲しいのです。

そこで、さっきの話の答えになります。
「朝からずっと痛くて夜も続いている」というのは、夜中に病院に来なくてはならないほどの急病なのでしょうか。
それは、痛みが、どのくらいのものなのか、によります。
朝まで我慢できそうにないような激しい痛みで、すぐにどうにかしないと耐えられないような痛みなら、夜でも遠慮なく病院に来てください。
朝から痛みが続いているけれど、我慢できないような痛みではなく、ただ続くから心配、というのなら朝まで家で様子をみることもできるのではないでしょう か。眠ることもできないような激しい痛みなら、病院に来てもいいですが、もともと不眠傾向があって、お腹がちょっと痛むのが気になる、というのなら翌日で もいいのでは、と思いますよね。
判断が難しいことも、もちろんありますが・・・。

15 名護の21世紀ビーチを背景にしたこのスライドは、私の率直な気持ちを述べたものです。よろしかったら、拡大してお読みください。


最後にもう一度、私のお気に入りのスライドを出して、発表を終えました。
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女性ネットによるフォーラム

Photo12月5日(金)に女性ネットの主催で「やんばる母と子の命を守るために~県立北部病院の役割」と題したフォーラムがありました。

地元紙の報道をリンクしておきます。
 沖縄タイムス
 琉球新報

マスコミが県立病院のあり方検討などの問題を取り上げて続けてくれているためか、100人規模の会場に予想以上の人が集まりました。

会場入り口では津嘉山酒造所による「やんばる母と子」限定ボトル(画像)と、家庭料理の本「沖縄発パパッとご飯しっかりご飯」のチャリティーセールがありました。津嘉山酒造所さん、宮城都志子さん、ありがとうございました。

私もパネリストということで発表させていただきました。
それはまた、次の記事で。

2009年5月15日追記。

津嘉山酒造所では、工場販売限定でこの「やんばる母と子ボトル」の販売を継続してくださるそうです。工場に行かなくちゃ買えないそうですが、入手ご希望の方は、津嘉山酒造所を訪れた際に注文してみてはいかがでしょう。国の重要文化財にも指定されるようですし、一見の価値はある工場です。

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