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2008年4月 1日 (火)

Aiについての個人的な要望

Aiというのが、海堂先生のご活躍もあり、死因究明についての話で最近、話題にのぼることが増えてきました。
Ai、すなわちautopsy imaging。オートプシー・イメージングです。
ちゃんと学会もありますので、Aiって何?と思われた方はどうぞ学会ホームページを。

亡くなられた方の死因を究明するためなどにCT等の画像診断を駆使しようという、21世紀にふさわしい、新しい試みです。
まだ研究途上の面もありますが、解剖率が低い日本で、解剖せずとも画像診断のみで死因を知ることができることもあるのではないか、と期待されています。

さて、Aiについて説明するのが拙文の目的ではありません。
個人的にオートプシー・イメージングの日本語訳で、気になっていることがあるのです。

オートプシー・イメージングは「死亡時画像検死」と訳されたり、「死亡時画像病理診断」と訳されたりしています。
病理医である私としては「病理」が入るのかどうか、が大変、気になります。

きっちり訳語を分けて欲しい、というのが私の個人的な要望です。

①ご遺体に画像診断のみ → 「死亡時画像検死」

②ご遺体を画像診断した後に解剖して病理学的診断 → 「死亡時画像病理診断」

という具合に、オートプシー・イメージングの訳語としての「死亡時画像病理診断」という日本語名称は、画像診断の後に病理解剖が実施された時(画像診断と病理診断の併用)のみに限定して欲しいのです。

前者(①、すなわちご遺体の画像診断のみ)をautopsy imagingというのは、解剖の代用としての画像診断を意味しているのだと思います。(誤解だったらすみません。)
もし「死亡時画像検死」と「死」が2個も入るのが変、というのなら「死亡時画像診断」と呼べばいいと思うのですが。

ところがこのあたりの用語の混乱があります。たとえば以下の記事。
タイトルは「死因究明にAi(画像病理診断)」です。
--------------------------------------------
死因究明にAi(画像病理診断)

3月31日15時0分配信 医療介護情報CBニュース

 日本医師会(日医、唐澤祥人会長)はこのほど、CT(コンピュータ断層撮影)などを利用した死因究明(Ai)に関する中間報告書を公表した。日医は昨年12月から解剖の補助的な診断方法として画像診断を活用する方法について検討しており、「今後『Aiを解剖の補助的診断方法として検討する』といった表現 を第3次試案に盛り込むことが肝要である」と主張している。

 「Ai」と呼ばれる死因究明の方法が注目されている。「Ai」とは、Autopsy(解剖)とImaging(画像)を合わせた新しい言葉で、「死亡時画像病理診断」と呼ばれている。
【以下略】
--------------------------------------------
解剖の補助的診断方法、ということは、解剖が別、ということで①?

だとしたら

>「Ai」とは、Autopsy(解剖)とImaging(画像)を合わせた新しい言葉で、「死亡時画像病理診断」と呼ばれている

という解説は誤りです。

「病理診断」は、標榜科されたとはいえ、まだ一般への知名度は低いです。
病理診断がされもしないものについて「病理診断」という名称をつけるのは、誤解のもとですし、ご遺体への病理診断(=病理解剖)についての間違ったイメージを世間に提供することになります。

だから、画像診断のみのAiを「死亡時画像病理診断」と呼ばないで。

辺境で働く一人の病理医からの、お願いです。

 4月2日追記。
  偶然ですが、海堂先生のブログが直後に更新されました。
  みなさまにも、お読みいただければ幸いです。

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コメント

時々、単純CTにどこまで期待してんだよっ!!と言いたくなる文章もあります。
ましてや、血圧だのいろいろ弛緩した肉体の画像は、生体の単純CTより、情報は少ないです。
死体の画像診断は、死体画像の専門家を養成して彼らに一任すべきと思います。
少なくともマンモグラフィ診断医程度の精度管理は必要です。

投稿: ssd666 | 2008年4月 1日 (火) 12時03分

>死体の画像診断は、死体画像の専門家を養成して彼らに一任すべきと思います。

Ai学会も、パブリックコメントでこんなことを書いてますよ。このコメントの私のHNからリンクしています。

>子供が小さな大人でないのと同様に、生前に撮像された通常の放射線科医が目にするCT画像と、心肺停止状態で、深吸気で撮像されていない、また造影剤の投与が行えない死後画像は全く違います。死後画像に対しては、わずか一握りの放射線科医以外、読影した経験を持つ診断医はいないというのが現状です。
(中略)
>生きている患者の読影でも手が回らないのに死んでいる人も読めるか”というのが普通の放射線科医の認識だと思います。

そうおかしなことを主張してる学会ではないと思います。

投稿: slummy | 2008年4月 3日 (木) 01時35分

>死体の画像診断は、死体画像の専門家を養成して彼らに一任すべきと思います。

こんなこと言っておいてなんですが、オフサイドトラップのように、「え、おれ?!」とかいう状況になりそうな気もする。

投稿: ssd666 | 2008年4月 8日 (火) 12時48分

>「え、おれ?!」とかいう状況になりそうな気もする。

同じような危惧を、医療安全調査委員会だかの解剖について抱いております。
「医療安全調査委員会って、誰が解剖するの?…えっ?私!?」ってなることを大変、大変、恐れております。ほとんど恐怖感です。

投稿: slummy | 2008年4月 9日 (水) 12時46分

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