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2007年7月 1日 (日)

やんばる二人病理医

最近、違う話ばかり書いているので、久しぶりに病理の話題を。

先月から、やんばる(沖縄県北部地域)の常勤病理医が二人になっています。

そう。一人増えたんです。
といっても私の勤務先に増えたわけじゃないですよ。
お隣の病院に、常勤病理医が赴任されたんです。
それも、ずっとこちらの病院に非常勤医として勤務して下さっていた、私にとっては
とても親しく、尊敬できる素敵な先生なんです(女性です)。
診断病理医としての経験年数は私よりも長く、診断の「目」も確か。
これまで、何度も私の誤診を未然に防止して下さった実績もある方です。

ながーーい間、地域唯一の病理医だった私としては、もう、この先生が来て下さったことを考えるだけでニマニマしてしまうくらい、嬉しくてたまりません。
これまで、一番近い所にいる病理医の所まで高速使って1時間以上でしたから。

ずっと「やんばる一人病理医」だったのが、「やんばる二人病理医」になったのです。

☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆

標本を一人だけで見て診断するのと、もう一人に見てもらって診断するというのは、診断する側としては、もう、全然、違うんです。
病理診断は顕微鏡の所見をみて診断するもので、どうしても主観が入ります。
その日、その時の体調や精神状態にも左右されます。
体調や精神状態が悪いと、見えるはずのものも見えなかったり。

極端な話をすれば「胃炎」と診断した標本を翌日もう一度見直すと、胃癌だった、ということがあり得るんです。
あんまりしょっちゅう、そういうことがあるようでは専門医としての勉強をもう一度、やり直した方がいいんでしょうけれど…
絶対そういうことがない、という病理医は、この世の中に一人もいないと思います。
人間は、みな、不完全な存在。
完全な病理医、絶対に誤診をしない病理医、というのはいません。

それでも、少しでも誤診を減らし、患者さんに迷惑をかけない診断を100%に近い状態でするために、良心的な病理医はみな、さまざまな工夫をしています。
誰か他の病理医に見てもらう、というのはその最もオーソドックスな手段です。
専門医修行中の医師でも、研修医と一緒に見ても、一人で見るのとは違うんですが、誰か別の病理専門医、信頼できる「目」を持った相手に見てもらう、というのが一番。

複数の病理専門医が全標本を一緒にみる、というのが理想的な方法です。
でも、さまざまな事情で、現実には私のような一人病理医が全国にたくさんいます。
理想と現実は一致しませんね、なかなか。

☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆

さて。
せっかく、そういう先生がお隣にく赴任して来られたのです。
ぜひ、病院同士で協力しあって病理診断ができる体制を整えましょう、という話になり、それぞれの院長先生にも説明して了解をいただいて、お互いに業務時間内に行き来してお互いの病院の標本を見に行けるようにしていただきました。
業務として、こういう交流を認めてもらえたのは、個人的には画期的なことでした。

地域の病理標本は、地域で診断するのが一番です。
同じ地域にいる専門医同士が連携し、協力しあって、地域の人たちにより良い医療を提供できるようにしていける体制が整いました。

先方の病院は民間病院。こちらは公立病院です。
公立病院と民間病院の両方があって、緊密な連携体制をとって協力できることは協力し、それぞれの長所を伸ばしつつ短所を補いあいつつ、医療を提供していくことが、地域の住民にとっては一番いいんじゃないか、と私は考えています。

この二つの病院組織の吸収?合併?という話も出ているようですが、二つの組織を一つにするのは、メリットだけではなくデメリットもあり、無理もあります。
個人的にはこのまま二つの病院組織でありつつ、地域に良い医療を提供するという共通目的を忘れず、仲良くやっていきたいです。

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コメント

このブログでははじめまして、です。ケアネットで非臨床系への転科について書き込みをし、先生からお返事を頂いた者です。

私は卒後4年目の内科医です。臨床研修を経て内科医になったので、実質は2年目です。
この約3年と少し(一応研修期間も含め)で痛感した事は自分が臨床医としての適性に欠けているのではないか、ということです。
もともと、臨床系か非臨床系か迷っていた時期はあったのですが、臨床研修を経た事もあり結局臨床系に進みました。しかし、実際に勤務してみるとやはり自分が考えていたものとのギャップがあり、臨床医を続けていく事に迷いを感じるようになりました。そこで今回改めて非臨床系への転科を具体的に考えるようになりました。

その時真っ先に浮かんだのが病理でした。病理は学生時代に興味を持った科であり、もう一度自分を生かせる科を、と考えた時に病理が選択肢として自分の中にあがりました。

しかし考えてはみたものの、周囲は具体的な相談ができる知人がおらず、実態もわからず暗中模索の状態です。やはり、病理などへ転科する場合は大学の医局へ入局し直すというのがスタンダードと考えてしまいますが…。

そこで、どんなことでも構いませんのでご教示頂けたら幸いです。どうぞ宜しくお願い致します。

私的なことを書き込んでしまい、大変申し訳ありません。

投稿: kiko | 2007年7月26日 (木) 21時36分

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