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2007年6月27日 (水)

悲劇を繰り返さないために・続き

コメントくださった脳外科見習いさま、Yukitakeさま、hot-coffeeさま、
山口(産婦人科)さま、道標主人さま、Dr.Iさま、三上藤花さま、鴛泊愁さま、
そしてトラックバック下さった諸先生方、ありがとうございました。

山口(産婦人科)さまのコメントに返答する形で、今回は書きます。

>100人中5人位お産で死ぬのなら、お産で死んでも「運が悪かった」で
>済まされるでしょう。
>ところが10万人に5人になると「お産で死ぬはずがない」「医師が
>ミスしたのでは」となって訴訟が増えるのです。

周産期死亡率と一般の認識については、おっしゃる通りの側面があるかも
しれませんが、訴訟にまでいたるのは別の要因があると私は思います。
今回の訴訟についてはご遺族が自分たちだけの意志で訴えたとは思えない
経緯が指摘されています。今回のようなお気の毒な女性の死を、関与した医師
個人の責任として訴えるのは間違っていますし、このような訴訟を「よくある
訴訟」に、決して、してはならないのです。

今の60代、70代の人たちに聞けば、お産で亡くなるお母さんや赤ちゃんが、
どんなにありふれた存在だったかを、教えてもらえますよね。

「昔はお産でお母さんや赤ちゃんが死んでいた。今は違う。」

これが60代以上の日本人の、一般的な認識でしょう。
若い世代になるほど「お産では誰も死なないのが当たり前」になっています。

この「今」は、産婦人科の先生方個々人の多大な努力と献身の上に維持されて
いる、非常にもろい「今」だということを、私たち医師は知っています。
このような訴訟が、献身的、良心的に努力を続けている産婦人科の先生方を
深く傷つけるものであり、先生方の医療への熱意を失わせかねないものだと
危惧しています。熱意あってこそ、多くの母と子の命が救われているのに。

>周産期死亡率を下げるために努力してきた先人たちはわれわれの訴訟される
>率を上げるために努力してきたのだろうか、とむなしくなります。

周産期死亡率を下げようと、いや、目の前の命の火を消してはならない、と、
一人一人の妊産婦を見捨てず献身的な努力を続けてこられた産婦人科の先生方の
おかげで、多くの母と子が助けられてきたのです。私自身も、緊急帝王切開で
子と共に命を救っていただいた身であり、このご恩は一生忘れません。
先生方がむなしさを感じなくて済むような社会でありたいものです。


追記:ちょっと思う所がありまして、前の記事にいただいたコメントの中で、三上藤花
 さまのコメントのみ、ブログ主だけに見える非公開に変えさせていただきました。
 内緒話、ということでご容赦くださいませ。

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