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2006年12月30日 (土)

外科病理学第4版

仕事に使う病理診断の本は、病院(職場)の図書費で購入してもらい、個人では極力、買わないことにしている。

しかし、この本は例外。文光堂の「外科病理学」。
日本語で書かれた診断病理学の最高峰にして集大成。
新版が出ると個人で購入し、個人蔵書の証に印鑑を押し、こんなインデックスをつける。
顕微鏡の横に置き(本棚に収まる暇がない)毎日、何度も開く。
ちょっと時間が空いた時にも読む。
頭に知識が収まりきれない私(単に記憶力が悪いともいう)の病理医としての頭脳であり、病名を調べなおす辞書であり、日々の愛読書であり、心の支えでもある。
(職場での睡眠導入剤でもあり・・・ちょっと開いてぐっすり眠り、目覚めはすっきり。)
第4版では2分冊になって執筆陣も一新され、内容はますます充実している。

日本の病理診断医にとっては座右の書であり、病理医でこの本を知らないという人はモグリのニセ病理医か、引退した昔の病理医だけではないか。

病理医をめざし始めた当時は、第2版だった。
蛍光ペンで線を引いたり、余白に書き込んだり、文献からの表や図を貼り付けたりして、勉強したすべてをこの本に押し込もうとしていた。
認定病理医試験(今の病理専門医試験)が終わった後のアンケートで
「試験には『文光堂 外科病理学』の持ち込みを許可して欲しい」と書いたのは私。
だってぇ、頭脳なしで試験に受かるわけない~、と本気で思っていたのだ。
(・・・まぁ結果的には、持ち込まなくても合格できたんだけど。)

一人病理医として現在の病院に赴任してまもなく、第3版が出た。
たくさん書き込みした第2版を手放しがたく思ったが、いざ第3版を机に置いてみると、
すぐに第2版は不要になった。蛍光ペンでたくさん線を引いた。

そして現在、私の顕微鏡の隣には第4版がある。
この本は私にとって、現役の病理診断医である証でもある。
病理診断を仕事として続ける限り、新しい版が出たら購入するだろう。

病院図書の購入は毎年、年度末。
既に私の机にある本だが、この本も病院予算で購入してもらって、
臨床医の便宜のため、病院の図書室においてもらう予定。

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2006年12月16日 (土)

院内カンファランスを始めました

今週から、院内で新しく病理主体のカンファランスを始めました。
その名も Easy Pathological Conferece、略してEPCなんてつけちゃいました。
日本語表記では「やさしい♪病理カンファランス」と音符マークが入ります。
音符が入るのは私のシュミです。悪いか!(笑)

とある若手臨床医の希望で始めた会です。
始めるにあたって、いくつか原則を(ほとんど私の方で)決めました。

1回1例。何例もやるのはこっちも負担なので、1例のみにしぼってます。
症例の選択基準は「ちょっと面白い病理の症例」ということにしてます。
それから、とにかく短時間(15分~30分)で終わる会にすること。
内容としては、大学を卒業したての研修医が「わからないのにわかったフリをする」
必要がないくらい、初心者向けにすることにしました。

会の流れとしては、以下のような感じで。
1.まず、基本的な正常組織、正常細胞を見せて説明する。
2.それから、この病気では何がどう正常と違うのか(○○だから病気、という、
 「○○だから」のところ)を病的な細胞や組織を見せながら説明する。
これで終わり。さくさくっと進んで、しかも、わかりやすそう、でしょう?

初回は、参加者が10人でした。
言いだしっぺの臨床医と私さえいれば成立する会なので、この人数は予想以上の盛況。
内容的にも、なかなか好評だったようです。
続けられるかなー。続けられるといいですねー。先のことはわからない。
参加者に毎回「顕微鏡についてるカメラが古いから、モニターの画質が悪い」と
いうのを実感してもらって、彼らの後押しを得て病院予算で上等のCCDカメラつき
顕微鏡を買ってもらうのが私のひそかな目標です(笑)

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2006年12月 9日 (土)

看護学校の講義

今年から、とある事情で看護専門学校での病理の講義を引き受けた。
10年ぐらい前に勤めていた病院には附属看護学校があり、そこでも病理の講義を
していたので、割と気軽に引き受けた。

しかし、引き受けてみて、これは大変だ、というのを実感している。
10月から2月まで、1回90分の講義を14回。
半年間、ほぼ毎週のように講義がある。

前は病理医2人でこの講義をしていたのだが、私は1人で全部を講義する。
講義そのものは90分だが、準備は決して90分では済まない。
内容を検討し、まとめ直し、パワーポイントでスライドを作る。
この作業に、少なくとも5、6時間はかかる。
病院での勤務を通常どおりこなしながら準備をするので、家で夜中にやるしかない。

こうして10月から、私は週に1、2回ほとんど徹夜するという生活を送っている。
徹夜、というのは大げさかもしれない。
だいたい週に2回、睡眠時間3時間、という生活をしているということだ。
詳細な生活実感はこちらに書いたとおり。

基礎体力の乏しい私にはかなり辛い。現在、今年2回目の風邪をひいている。
10月の終わりに風邪をひいた後は声が枯れて出なくなった。
喉の調子が治りきらないうちに、また、風邪をひいてしまい、
くしゃみ鼻水頭痛と喉の痛みに悩まされている。

こんなに大変なんだったら、病院の仕事やめて看護学校の講師だけで
生活したい・・・と思ったが、それだけで生活できるような待遇ではない。
パートとしても、準備時間と準備の手間を考えたら、絶対に割に合わない。
生活費を稼ぐため、という観点からは、やめるなら看護学校の方だな。
でもそうすると、困るのは看護学校、そして看護学校に入学した生徒さんたち。

看護師は不足している。看護学校は必要だ。
そして良い看護師になるために、病理の教育は欠かせない。
胃がんと胃潰瘍の違いがわからないような看護師、というのでは困る。
医療についての正確な知識は看護師に必要だ。
そして、病理は病気の理論、医学の基礎の一つである。
誰かがちゃんと教えなくてはならない。

そういう理由で引き受けたのだが・・・大変、というのが正直な実感。
講義が終わる2月を、今から楽しみにしてしまっている。

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