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2006年9月27日 (水)

Overdiagnosisを防ぐために

個人的な戒めとして、overdiagnosisを防ぐ三ヶ条を。

一、直感を過信しない
二、基本情報(年齢、性別、採取部位)を再確認
三、はりきって「悪性」とつけない

これだけではあんまりなので、以下、適当に解説します。

まず、overdiagnosisという言葉・・・何と訳したらいいんだろう。
文字通りなら「過剰診断」ということになるだろうか。
平たく言うならば、ガンでないものをガンと診断してしまうこと。

病理診断に習熟すること、は直感を養う、という一面がある。
顕微鏡を覗いた瞬間に「あ、これは・・・」と認識する、病理パターン認識的、直感。
この直感をあなどってはならない。
「これが癌なのは、細胞密度が高くて壊死もあって極性も乱れてて・・・」
という説明の大半は(実際問題としては)後付けであることが多い。
しかし、直感を過信するとロクなことはない。
たとえ後付けであっても、悪性疾患を悪性疾患と説明できるだけの材料が必要。
「なんとなく悪いと思った」では済まないのが、病理診断。

基本情報の再確認、は基本中の基本。
しかし、これを誤ると本当に大変なことになる。
同じ所見であっても、出所(採取部位)が違うと、診断が変わるのだ。

そして「はりきらない」。これもとても大事。
病理医の一般的傾向として、臨床医が疑っていなかった部位に癌を
発見すると、手柄でも立てたかのように喜びがちである。
しかし「予期されていなかった癌の発見」は、患者にとって最悪の知らせである。
癌が見つかるのは嬉しいことではない。悲しむべきこと、ではないのか。

はりきって癌の診断を積極的につけていくような病理医に、私はなりたくない。
病理診断で癌が見つかったことに対する、複雑な感情を持ち続ける病理医でいたい。

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コメント

癌が発見されるのは、やはり悲しむべきことなんだろうか?・・・と考えました。
私は未経験なのですが、もしも発見された癌が早期のものなら、私はむしろ『この段階で見つかって良かった』と思い、逆にかなり進行した段階のもので、治療が困難な段階のものなら落ち込んだり、投げやりな気持ちになると思います。

ただ、発見されないと治療ははじまりません。もしも臨床医が癌と診断しなかった部位の癌を病理で診断できたのなら、やはり患者さんにとっては、少しでも早い段階で治療ができるのだから良いことではないかと思いました。

癌とわかるのは確かに患者にとっては大きなショックです。何かの間違いであってほしい、と一時は思うでしょう。けれど、癌とわかって、それでも生きる希望を失わないで、前向きに生きている人は確かにいます。自分がそうなったとき、そんなふうに強く生きられるか全く自信はないですが、自分もそうありたいと思っています。

投稿: yurin | 2007年2月17日 (土) 18時29分

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