2019年7月14日 (日)

診療情報管理士は、病院の経営とはどういう形で関わるのか?

ある高校生さんにご質問いただいたので、ブログにてお返事させていただきます。

質問

「診療情報管理士は実際、病院の経営とはどういう形で関われるのでしょうか?」

これは、とても良い質問だと思います。診療情報管理士の役割は大きく変化しつつあります。

1.病院の経営とは何か

まず「病院の経営」とは何であるか、を私の言葉で説明させてくださいね。

「経営」とは、営み(事業)を続けること、そのものです。
病院は、患者さんの病気を治療する、医療を提供する事業体です。
たとえば「沖縄県立中部病院」は、沖縄県(沖縄県庁)の「病院事業局」という組織の一つとして経営されています。

事業を継続して行う、すなわち「経営する」という点で、病院は事業体としての性質を持っている、ということをまず理解してくださいね。

そして、事業体の経営には経営資源が必要です。
病院であれば、患者さんに医療を提供し続けるために、経営資源が必要、ということです。

この経営資源は、一般に4つの要素に分けられています。
1)人的資源(ヒト):医療者、看護者、その他の病院で働く人
2)物的資源(モノ):建物、検査機器などの機械、装置
3)財務的資源(カネ):1)2)を事業目的に沿って維持し続けるのに必要なお金
4)情報資源(情報):1)2)3)を事業目的に沿って維持し続けるのに必要な情報

ヒト・モノ・カネ・情報という4要素、おぼえてくださいね。

病院で、この4つの全体をまとめて管理するのは病院長、看護部長、事務部長などの、管理職と言われる人たちです。
管理職の下に医療部門(医師、医療技術者)、看護部門(看護師、看護助手など)、事務部門(事務職員)がいます。

ある病院の事務部長さんは診療情報管理士の資格を持っていますが、この資格を持っていない人が事務部長になることも珍しくはありません。しかし病院事務職員として仕事をしていく上で、診療情報管理士資格取得に必要な医療・経営・情報の知識は役にたつこと間違いないです。

病院の事務部門の中で、ヒトを管理するのは人事部門、モノを管理するのは物流・施設部門、カネを管理するのは財務部門、情報を管理するのが情報部門、という風に組織上は分割されます。分割されているといってもたとえば人事部門はモノやカネには一切関わらない、という厳格な仕事の分け方(業務分掌)ではありません。主にヒトに関係することを扱い、ヒトに伴うモノやカネにも関わる、という程度に理解してください。

2.病院の情報を扱う診療情報管理士

さて。
病院のさまざまな情報は「診療(記)録、カルテ」に集まってきます。
以前は紙のカルテが一般的でしたが、現在は電子化されています。

この電子化されたカルテを読んで内容を理解し、必要な情報をとりだし、その情報を必要としている人に相手が求める形で加工して届けるのが、診療情報管理士の仕事だと私は理解しています。

カルテの内容を理解するには医学の知識が必要です。
情報を扱うにはITに関する技術力が必要です。
相手が何の情報を求めているのか理解し、加工して届けるには医学、情報に加えてコミュニケーション能力が必要です。

実例をあげましょう。※そのままという訳にはいきませんので、一部を仮名にするなど変更しています。

名桜大学の診療情報管理専攻の卒業生であるYさんは、病院で医事課入院係という仕事をしています。
電子カルテをものすごく「読む」仕事だそうです。
どんな風に読むのか、読んで何をしているのか、というYさんの物語です。

登場人物は3人。
Aさん:患者さん。病院に入院し、退院直前です。
F先生:医師。Aさんの主治医です。
Yさん:医事課入院係の診療情報管理士です。病院に勤務して3年目。

Aさんが入院して病院で治療を受け、病気が良くなったので入院5日目での退院が決まりました。
退院前日、4日目の午後のことです。
明日は退院する、と決まったAさんのカルテをYさんが見た時、医師の記録の重要な部分が、何も書かれていないことに気づきました。
「退院時病名」欄が空欄なのです。

入院患者さんの医療費は「退院時病名」で決定されます。
なのに、主治医のF先生は他の重症患者を何名も担当し診療に追われ、病状が改善し退院する患者、Aさんのカルテ入力が後回しになっているのです。
医師F先生としては、重症患者の診療が優先です。
ですけれど、Aさんの退院時病名が決まらないと、Aさんの入院診療費は不明のまま。病院は、入院医療費を請求できません。

Yさんは、Aさんの電子カルテを読みました。
病院に入院するきっかけとなった紹介状、入院してから行った検査リスト、放射線診断医の診断結果、F先生が使用した医療器具、看護師の看護記録などなど、膨大な情報を読み、Yさんなりに理解し考えました。
そしてF先生に退院時病名を提案するメールを送りました。

「Aさんは明日退院予定です。退院時病名は〇〇でよいでしょうか?」

翌日の朝一番で、F先生から「Aさんの病名〇〇を承認します」という返信がYさんに届きました。
病名に従ってAさんの入院医療費が決定され、Aさんは病院の窓口で医療費を支払って退院しました。

これは、ほんの一例です。Yさんの上記の例では「情報」から「カネ」の管理に関わり、「ヒト」である医師の業務効率化に貢献した、ということになります。他にも「モノ」や「情報」に直接的に関わる、重要な役割(病院の各種統計やカルテ開示などなど)を各病院の診療情報管理士は担っています。

電子カルテを読み、必要な人に必要な情報を届ける、診療情報管理士の仕事は、他にも多くの場面で病院の経営に関わっています。

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2018年5月17日 (木)

平成30年度以降の認定試験で何が変わるのか

※※※※この記事の内容は古いので、ご注意ください。※※※※
※※※ 令和元年7月1日発表の、診療情報管理士認定試験の要綱は日本病院会のサイトから入手できます。(2019年7月14日付記)


 

 

なかなか更新しないブログで、すみません。
あくまでも個人が気ままにやっているブログでして、ご期待に添えないことばかりではないかと存じます。

 

と書くと
「そもそも何も期待なんかしてない」
と思われた方もいらっしゃるかと思います。

 

ありがとうございます。

 

そのような方のために、このブログを書いております。
(期待の低さがありがたいです。)

 

さて、もう一度、タイトルとカテゴリをご覧ください。

 

「この内容には興味がない」という方は、以下を読むのはお止めください。
時間の無駄です。
これを読みたい!という方、大変お待たせいたしました。
・・・前置きはここまでです。

 

今年、平成30年度は診療情報管理士認定試験が「変わる」と予告されている年です。

 

毎年2月初旬に行われる、日本病院会をはじめとする四病院団体協議会主催のこの認定試験。
2019年2月の第12回試験から何が変わるのか。
どう変わるのか、ということについて、現時点での私の理解をこちらにて公開しておきます。

 

これまでも細かな改革がされてきている診療情報管理士認定試験ですが、今年度は大改革なのです。

 

「基礎」「専門」「分類」の3つに区分されていた試験が「基礎」「専門」の二つの区分に変わる、と聞いています。

 

具体的には・・・日本病院会のサイト(リンク先はpdfです、ご注意ください)によりますと。

 

>※分類法について
>ICD-10の索引表、内容例示表の2冊を使用しコーディングを行うための学習から、
>主に第12章でICDの体系を理解するカリキュラムに変更になりました。
>基礎課程で学んだ知識を活かし、ICD-10 各章の疾病分類体系の構造や特徴、留意事項を学びます。

 

とのことです。

 

コードを「引く」ところをAIやソフトにまかせ、
「人間にしかできない」ことを
「人間が」する。

 

そのための試験になる、という印象を私は持っています。

 

分類法が「無くなる」訳ではないことにご注意ください。

 

これまでの分類法は「疾病(の病態を理解して)適切なICDコードを付与する」ことができればOK、みたいな感じでした。

 

ICD-11の完成、適用が目前となっている現在、これからは

 

1)現時点でのICDコード(分類)の体系を理解している
2)今後ICDコードがアップデートされる(例:CD-11になる)際に、自分でその変化についていく

 

この2点ができる人を、「診療情報管理士」として世に出していきたいのではないかと、私はみています。
「与えられた業務をこなす」だけではなく、「自ら必要なことを見出して動く」人を資格認定しよう、と。

 

時代の変化についていくのは大変ですが、時代から取り残されるのも人、時代の先を行くのも人、です。
お互い、頑張りましょうね。

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2018年4月16日 (月)

学生さんからの質問に答える

1年以上ご無沙汰してたブログ更新です。


さて、本日は講義を受けた学生さんから頂戴した質問の回答をこちらで行います。

「医療概論及び臨床医学総論」という講義で、書いてもらって持ち帰った質問、順序はランダムです。

Q1:先生が考える人間とは何ですか?

 えーと。
 一言で答えられないような本質的な質問をありがとう。
 いやぁホントに、人間って、何でしょうね。
 生まれて、成長して、喜怒哀楽をいっぱい味わって、他人と関わって、そして死んでいく存在、かな。
 とりあえず、こんなところで次の質問に答えさせてください。

Q2:先生は医者ですか?

 はい、医者です。病理専門医、という専門医でもあります。

 で、医者ですけど、自分では普通の人間だと思ってます。
 すべての人が特別な存在であるのと同じく、私も特別な存在だとは思いますが
 その肩書として「医者」ってのがくっついてる、ごく普通の人間です。

Q3:人間には、他の動物にはない欲がたくさんあります。
 何故、人間だけこんなにも欲をもっているのだと思いますか。

 うーん、他の動物と同じような欲もありますし、違う欲もあると思いますが、
 数え方次第で、実は欲の量的には同じくらいかもしれませんよー。
 文明と文化で欲を細分化してカウントするから「たくさん」って思えるだけじゃないですかね。

Q4:どうして常に明るく振舞おうとしているのですか?
 もともとの性格ですか?それとも職業柄ですか?

 これも答えにくい質問ですが。
 小学校の時から、通知表のコメント欄に「明るく活発で」と書かれるような性格ではあります。
 でも性格の根っことしては、明るいかどうかは自分では疑問です。
 明るく振舞う方が、自分も、周囲も、楽しいんじゃないかなと思ってる面はあります。

 職業柄というのが、大学教員という職を楽しんでる、という意味なら、その通りです。

Q5:なぜ診療情報管理士はチーム医療の一員として働けている人が少ないのか

 ストレートな質問ですね。これは歴史的経緯と、現場の事情によります。
 新しい専門職なので、地位が確立されていない、という説明はできます。
 細かく見ていくと「環境が悪い」すなわち医療サイドに問題がある場合と、
 診療情報管理士自身が「チームに入ることを求めていない」場合があるように私には思えます。
 あくまでも私見です。

Q6:AIにこの仕事がとられてしまう可能性はありますか。

 どんな仕事もとられてしまう「可能性」はあります。
 でも、医療の情報を集約し分析して価値を生み出す、という診療情報管理の本質的な部分について、
 AIの先を行けるのは、人間だと思います。

Q7:何で人間だけ感情があるのか

 人間だけじゃない、犬や猫にも感情がある、という話はここでは横に置いときます。
 感情と知性、両方があるっていうのは人間の素晴らしい特徴だと私は思ってますよー。
 知性や理性だけじゃ人生絶対つまんないんです。
 感情だけでもつまんないんですけど。
 両方そろって、豊かな人生があるんじゃないかと思います。

 「何で」という質問には答えてませんけれど、お許しくださいね。

Q8:医療事務とはどういうところが違いますか。

 「医療事務」と「診療情報管理」の違いですね。
 広義の「医療事務」に診療情報管理を入れることもあります。
 医療事務職員から進化した専門家が「診療情報管理士」だと私は理解してます。
 このあたり人によって意見が違うかもしれませんけれど。

Q9:学び、考え、活かす力はなぜ人間だけが持てたのだろうか。

 学び、考え、活かす力が、人間の文化だからだと思います。
 人間社会で是認され、人間の社会を発展させてきたのがこれらの力だから、かと。

Q10:医療は「芸術」と「科学」の「芸術」とは具体的になんですか。

 医療はArt & Scienceだ、という講義での説明をもっと突っ込んで聞いてくれてありがとう。
 この場合のArtは「ヒトのわざ、人間が行う、人が創造する」というくらいの意味だと思ってください。
 Scienceは神(日本的世界感では「自然」と言い換えても良いかもしれませんね)が備えたものを
 調べて、人間が応用する(創造するのではない)領域なので、それとは異なる区分、ということです。

Q11:臨床医学と予防医学、応用医学の中で一番難しい、難解な学問はどれだと思いますか。

 うーん、どれもそれぞれに難しさがあるので、比較することそのものが難しいですね。
 私は臨床医学から基礎医学に片足を突っ込んだ人間だと思ってますが、基礎医学の難しさも
 半端じゃないんで、私の人生は基礎医学の沼に沈んで終わりそうなんですよ。沼が深い。
 で、上に書かれた3つの中で、私が一番、理解していないのは応用医学だと思います。

Q12:この文(注:診療情報管理士テキスト前文「病気と病気の人を理解するために(木村明)」)を読んで、
 人間は「不老不死」を願うが私たちは生命の大きな流れを止めることはできない。とありますが、
 iPS細胞など様々な科学が発達したら、「不老不死」は実現できるのではないでしょうか?

 おお。これは二つの立場がある、とも言えます。

  立場A 「不老不死は実現できる」(ので不老不死を目指して努力し続けよう!?)

  立場B 「不老不死は実現できない」(けれど…)

 私自身の立場はBです。
 実現できない、実現をめざす必要もない、という立場、考えです。
 なぜそう考えるのか、「けれど」の先には何が続くのか、というのは長い話になります。
 ですので、また機会がありましたら。

以上です。長文お読みくださってありがとうございました!

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2017年3月 5日 (日)

平成28年度第1回院内がん登録研修会参加記録

2017年3月4日、琉大で開催された、院内がん登録研修会に参加しました。

膨大な情報量を詳細に説明された研修会でした。
PCでメモをとったのですが、非常に長いです。
とても頭に入りそうにないので、備忘録代わりに、こちらに掲載します。

注:あくまでも個人による研修会参加記録です。
 私は病理専門医ですが、がん登録実務者ではありません。
 実務についての理解は乏しいことをあらかじめご承知おきください。
 記載内容に誤り等が含まれている可能性を否定できませんが、その責は私にあります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
講師:江森 佳子先生(国立がん研究センター)

2016年版 院内がん登録 標準登録様式

2016年対象症例からの登録ルールについて説明する。
(前版は2006年様式)

様式が変わってもすべては変わらない。
基本的なベースは2015年までと同様だが、
それまでにはとれなかった情報をとれるように
項目が増えたり、視点が変わったりしている。

99項目ある。すべての項目に何かを入れる。
「オプション項目(入れても入れなくてもいい)」はなくなった。
基本すべてに入れる。空欄は作らない、というコンセプト。

○全国がん登録共通項目 26項目
がん登録関連法規にて定めらている項目。

●院内がん登録の標準項目 47項目
他の施設と比較できるのが院内がん登録の最大のメリット。

◎管理項目 26項目(←もともとはフリー項目だった)
施設で必要と考えられる項目
(すべて手入力の必要はなく、他院内システムからのインポートも可)

【様式の適用時期】
新標準登録様式の対象症例は平成28年(2016年)1月1日以降
対象症例から適用。
 他施設診断:当該腫瘍初診日が2016年1月1日以降
 自施設診断:自施設診断日が 2016年1月1日以降

そもそも対象症例とは何か。
何年何月何日の症例?どの日付をキーとするのか?

キーとなる日付を「起算日」という。
起算日とは?
 自施設診断症例は自施設診断日。
 他施設診断症例は、当該腫瘍初診日。

院内がん登録については当該腫瘍で初診されてから4~5か月後に登録。

【登録対象】
ICD-O-3における性状コード2もしくは3
(性状コ―ド2が上皮内癌、3は悪性原発)

新様式での登録対象拡大

●一部の卵巣境界悪性腫瘍(性状コード1)
ICD-10においては「卵巣腫瘍のICD-0-3の844~847は悪性扱い」
●中枢神経系腫瘍は良性、良悪性不詳も登録。
脊髄膜、脊髄、馬尾についても含まれる。
●GISTはすべて登録対象。

【登録対象から除外するもの】
●顕微鏡学的診断のない「上皮内癌」
 (肉眼診断や画像診断のみで病理組織診、細胞診がないもの)
●前立腺PIN3は登録対象外
●セカンドオピニオンの症例も登録対象外

【臨床的悪性】の扱いについての変更
●病理レポートで悪性と書かれていれば/3
●病理所見で悪性と明示されていなければ/1
●病理学的な所見がなくても、遠隔転移があれば/3

【がん登録でいう「がんの診断」とは】
●医師が「がん」と認識すること。
  確定診断とは限らない。極めてあいまいなことが多い。
  「がんの疑い」と書かれていることも多い。
  他施設の情報で「がんの疑い」→がんの診断とはしない
  自施設で「がんの疑い」→医師に確認の上、がんの診断としてよい

(以下余談。
 休憩時間に、一緒に参加していた学生から質問された。
 「あいまい、というのはどういうことか?」という質問だった。
 私からの回答として、臨床医には「確定診断」という用語を、
 病理組織検査がなされていない場合に使いたがらないことが
 ある、という話をした。以下のようなフィクション。

 75歳男性。入院時主訴、腹水貯留。
 アルコール飲酒歴あり、画像診断では肝硬変+肝細胞癌。
 血中AFP高値。肝腫瘤を穿刺し、穿刺吸引細胞診を提出した後、
 同穿刺針よりエタノール注入。
 しかし細胞診による診断が確定される前に患者さんが亡くなった。
 剖検をご遺族に提案したが承諾が得られず。
 退院時要約には「肝細胞癌の疑い」と記載されていた。

 電話で主治医に「この方は肝細胞癌と確定診断されてますか?」
 と尋ねたら「病理に聞け」という一言で終わったとする。
 で、病理細胞診は「壊死細胞のみ、診断不能」という結果。

 さてこの患者は確定診断されてない、ということになる。
 「がん登録」の対象となるのか?対象外か?
 あなたはどう考える?

 わたしは「がん登録」の対象だと考える。
 入院時主訴の腹水貯留は肝硬変によるものかもしれない。
 しかし、AFP高値、肝細胞癌疑いとして治療のエタ注をされている。
 主治医は肝細胞癌と認識していたとしか思えない。
 こういう症例を登録対象外にしてはならない。)

【一般的な「がん治療」とは】
1)原発巣、転移巣のがん組織に対して「縮小あるいは消失」を目的
  として行われる治療
2)症状緩和・軽減のための治療
 例:吻合術(バイパス手術)などの外科手術、
   疼痛緩和のための薬物・放射線療法。

がん登録の対象となる、がん治療の「初回治療」としては上の1)のみ。

【造血器腫瘍以外の悪性新生物の初回治療の考え方】
1)診療録にがん治療計画が記載されている場合は、その治療計画の完了まで。
2)がん治療計画が記載されていない場合、施設での標準的ながん治療計画が
 あれば、その治療計画の完了まで。
3)上記1)2)以外で、初回治療に含めないものが2点。
 Ⅰ:「がんの進展」または「期待した治療効果がない」と判断された時点
   「治療効果がないため別治療を開始した、その時点までの」治療
 Ⅱ:効果の有無等の記載がなく、検討している治療が診断(起算日)から
   4か月以上経過して開始された治療は、初回治療に含めない。
 (注意:何か別の理由があって計画通りに進んでいる場合は「4か月」に
    こだわらないこと。)
4)患者による治療拒否あるいは、医師(と患者の合意により?)経過観察が
  選択されている場合は、「経過観察という治療」を行ったと考える。

  例)症状緩和のみの治療 → 経過観察に含まれる。

【造血器腫瘍】変化なし(初回寛解導入までの治療)

初回治療での経過観察
造血器腫瘍以外では、「経過観察」を行うのは初回開始施設だけ。
造血器腫瘍のみは例外的に初回経過観察を複数施設で行うことがあり得る。

【標準登録項目とその定義】
基本情報
腫瘍情報
初回治療情報
生存状況情報
管理項目・その他

【日付の書式、フォーマット】
一般的なDBで用いられる数値型を用いる。
年月日を区別するためYYYYMMDDとする。月日が一桁の数なら0を付して2桁。
年月日が不詳の場合はYYYY=9999 MM=99 DD=99
~年頃、~月頃しかわからないときはYYYY8888,YYYYMM88
該当せず、適用なしの場合は77777777

【基本情報】
900 病院等の名称
100 診療録番号(患者ID)
110 重複番号(多重がんの把握のためのコード)
120 カナ氏名
130 氏名
140 性別
150 生年月日
199 基本情報(テキスト)

【110 重複番号】
多重がんのルールは変更されている。(あとで)

【120 カナ氏名】
氏名の読み、全角カタカナで。姓名の間に全角スペース。

姓が変更になった場合は、新姓に修正する。
旧姓は基本情報(テキスト)に記載。

【130 氏名】従来通り。

【140 性別】
生物学的性別ではなく、住民登録されている性別を入力する。

●生物学的性別が異なる場合は基本情報テキストに記載すること。
●住民登録上の性別が変更された場合は可能な限り変更し、
 以前の性別を基本情報テキストに記載する。
●住民登録している性別が明確でないときは診療録等で使用されている
 性別を入力する。

【190 基本情報テキスト】基本情報についての補足的情報。

【腫瘍情報】その1
220 診断時郵便番号
200 診断時都道府県コード
210 診断時住所
300 原発部位(局在コード)
309 原発部位(テキスト)
310 側性
320 病理診断(形態コード)
329 病理診断(テキスト)
330 診断根拠

【210 診断時住所】
市町村を省略しない。
転居があっても変更しない。
転居先は【950 最新住所】で保持する。

【300 原発部位(局在コード)】
ICD-0-3の局在コード。4桁。

【309 原発部位テキスト】
システムによって自動表示される言葉をそのままにしない。
その症例の診療記録に記載されている詳細な情報を要約して用いる。

【310 側性】
臓器における原発巣の側性
側性のある臓器における多重がんの判定に用いる。
コードの選択。
1:右側
2:左側
3:両側「網膜芽細胞腫、Wilms腫瘍、両側同一組織型卵巣腫瘍」のみ。
4:側性なし
9:不明(上記3「両側」以外のすべての腫瘍の両側性のもの)

【320 病理診断(形態コード)】

【329 病理診断(テキスト)】
309と同じく、病理診断の組織型の情報を補完する詳細情報。

希少がんの患者さんへの情報提供に用いられるため、正確に
記載すること。

【330 診断根拠】
患者全経過を通じて、最も確かな診断根拠。
コードの選択
1:原発巣の組織診
2:転移巣の組織診
3:細胞診
4:部位特異的腫瘍マーカー(AFP肝癌、hCG絨毛性腫瘍、
 VMA神経芽細胞腫、免疫グロブリンワルデンストレームMG血症)
5:臨床検査(4以外の腫瘍マーカーも含む)
6:臨床診断
9:不明

【腫瘍情報】その2
350 当該腫瘍初診日
360 他施設診断日
370 自施設診断日
380 診断日
400 診断施設
410 治療施設
420 症例区分
450 来院経路
460 発見経緯
470 病名の告知の有無

【350 当該腫瘍初診日】
初めて患者が自施設を受信した日

【360 他施設診断日】
より確からしい診断根拠の検査を行った日

【370 自施設診断日】
より確からしい診断根拠の検査を行った日

【診断日についての変更点】
2016年症例より、がん検診、健康診断、人間ドックで
行われた検査についての「診断日決定」の検査に含めて考える。

医療機関にかかったところをスタートとするので、
がん検診・健康診断・人間ドックで「がん」と診断し、
その後、自施設で診療していない症例は「登録対象外」とする。

360と370、どちらか一方が77777777となる。

【380 診断日】
全国がん登録の「診断日」に該当する日。

400(診断施設)によって以下を選択する
 →1(自施設診断)ならば370自施設診断日を。
 →2(他施設診断)ならば350当該腫瘍初診日を。

診断日は非常に重要。生存率などの起算日となる。
 他施設診断の場合、他施設診断日が起算日にふさわしいが
 より「確実である」当該腫瘍初診日を代用する。

【400 診断施設】
1:自施設
2:他施設

【410 治療施設】新項目!
当該腫瘍の初回治療をどの施設で開始・実施したかを判断する。
いわゆるセカンドオピニオンは登録対象外。

1:自施設で初回治療せず、他施設に紹介または転帰不明
2:自施設で初回治療を開始(経過観察開始を含む)
3:他施設で初回治療を開始後に、自施設を受診して初回治療を継続 ←NEW!!
4:他施設で初回治療を終了後に自施設に受診
8:その他(剖検など)

治療施設の考え方:初回治療が経過観察の場合、造血器腫瘍以外であれば継続はない。

【420 症例区分】新項目!
当該腫瘍の診断および初回治療をどの施設で開始し、実施したかを判断する。

10:診断のみ。

20:自施設診断・自施設初回治療開始
21:自施設診断・自施設初回治療継続
30:他施設診断・自施設初回治療開始
31:他施設診断・自施設初回治療継続

40:初回治療終了後
80:その他

20~31が「自施設責任症例」となる。

診断施設についての症例区分は考えて選択する。

【450 来院経路】自施設を受診した経路

「他施設」とは医療機関のみならず、検診機関や老人保健施設も含まれる。

10:自主的受診
20:他施設からの紹介
30:自施設で他疾患経過観察中(自施設検診部門からの紹介がここに含まれる)
80:その他
99:不明

紹介状がある場合の扱い。
 紹介状の宛名があるならば「20」
 紹介状がなくても、宛名(施設名、医師名等)がなければ「10」

【460 発見経緯】
当該腫瘍の診断について、発端となった状況。
(一番最初に医療機関を受診したきっかけは何か。)

1:がん検診・健康診断・人間ドック
3:他疾患の経過観察中の偶然発見
4:剖検発見(Ai含む)
8:その他
9:不明

【470 病名の告知の有無】
初回治療方針が決定されたの告示状況
病名が(悪性、がん、等の言葉が用いられて)本人に告知されているか否か。

1:病名の告知あり
2:病名の告知なし
9:不明

【腫瘍情報 その3】

UICC TNM分類 第7版に準拠

T分類のTxは自施設にて情報不十分で不明の場合。
他施設での診断情報が不十分な場合は1999

1000:T0
1010:Tis
1050:Ta
1100:T1
1200:T2
1300:T3
1400:T4
1500:Tx
1999:不明
7777:該当せず

UICCの第8版は日本語版がGW過ぎに出版予定。
がん登録での採用は早くても2018年。

【540 TNM分類 付加因子】

骨軟部虫垂:G因子
精巣:S因子
悪性リンパ腫:症状の有無
甲状腺:乳頭/濾胞 45歳未満
共通

治療前の腫瘍の状態。
該当する分類がない場合は7777

以下の3つのコードは骨軟部精巣悪性リンパ腫甲状腺のみ。
決定できない場合は5999
手術なし6610
術前治療後6620

pTNMは他施設の場合はかつては入力不要だった。
新様式では「初回治療があちこちで継続される」ため
治療しているのであればpTNMを把握しているべきだろう。

他施設のpTNMを入れる時は8000番台。
自施設のpTNMなら1000~5000番台。

初回治療終了後に自施設来院の場合は8000番台をつけない。

【550 肝癌の病期】
肝癌についてはUICC+原発性肝癌取り扱い規約
規約の情報をとるならここ。

【580 進展度・治療前】
初回治療前のがんの拡がりをみる。


【初回治療情報 700~】

観血的治療:700~730
非観血的治療:740~766

【初回治療情報 その他の治療】

【706 外科的治療(他施設)】

【710 鏡視下治療の有無】
一つの手術の中で併用されている場合は侵襲性の高い方を。

【711 鏡視下治療の施行日】

【715 鏡視下治療(他施設)】

【730 外科的・鏡視下・内視鏡的治療の範囲】
700、710、720で示された観血的治療の範囲
(該当しない場合は6観血的治療なし)
1:原発巣切除(腫瘍遺残なし)
4:姑息的な観血的治療(腫瘍遺残あり)
6:観血的治療なし
9:不明

【740 放射線療法の有無】
自施設で施行された初回治療のみ。

【750 化学療法の有無】
自施設で実施された初回治療のうち化学療法の実施の有無。
分子標的治療薬も化学療法に含める。

TAEのみならば【その他 770】になる。

【770 その他の治療の有無】

TAEやPEITなどはこちら。
免疫療法はこちら(BCG膀胱内注入等)
免疫セットポイント阻害剤は化学療法として750へ。

他施設ならば【775 その他の治療】

【780 経過観察の選択の有無(自施設)】

自施設で初回治療が開始された際の経過観察の選択の有無。

700~770の自施設での初回治療がすべて「施行なし」
「治療施設 2 自施設初回治療開始」

経過観察の選択の有無(自施設)の意義
・初回治療開始であれば、初回治療情報の項目が
 いずれかは「あり」または「経過観察を開始」しているはず。
・初回治療継続でも同様だが、この場合は初回治療情報の
 項目がいずれかは「あり」
 (初回治療継続時には「経過観察」は存在しない)
  ただし造血器腫瘍の際は別。

【790 症状緩和的な治療(自施設)】

自施設で実施された初回治療のタイミングで行われた、症状の
緩和を目的に行われた治療の実施の有無

初回治療に準じるタイミング(診断日からおおむね4か月以内)
で症状緩和的な治療が自施設で実施されたか否かを選択する。

(例:pain control、通過障害の解除を目的としたステント挿入、等)

考え方として、診断だけして他施設に紹介する(初回治療は他施設)
だが、たとえば黄疸症状を伴う胆道系腫瘍患者の場合、減黄術を
行って次の施設に送った場合には、「症状緩和的治療を行った」
ことを、がん登録に残すことになる。


【生存状況情報】

生存確認調査を行った後に記入する項目。

【800 生存最終確認日】

死亡が明らかな患者は死亡日を入れる。生存最終確認日には7を8個。

【830 生存確認調査方法】

10 来院情報  ←規定値。

850 死因情報(全国がん登録):ここはICD-10のコードを入れる。
 自施設の情報は入れない。

【管理情報】

999:全般情報(テキスト)
情報を複数入れる時にはセミコロン(;)を区切り記号とする。
個別説明は「=」を付して行う。
(例:分子標的薬=リツキサン)
フリーテキスト。全角換算おおむね128文字まで。
基本情報(テキスト)と合わせて256文字以内が望ましい。


その他の登録ルールの変更

子宮頸癌の円錐切除術は2016年症例から「検査」扱い。
膀胱癌TUR-Btは内視鏡的治療として扱うことは変わらない。
 結果がTaだった場合はpTaでよいが、結果がTa以外で、
 それ以上の追加切除がない場合はpTXとする。
 観血的治療の範囲として「姑息的観血的治療」とする。
前立腺癌TUR-Pは2015年までは「内視鏡的治療」扱い。
しかし2016年症例からは「検査」扱い。TUR-P情報はcT
前立腺癌治療としてのHoLEP(ホルミウムレーザー前立腺核出術)
は2015年までは「レーザー等治療」扱い、2016年からは
「内視鏡的治療」扱い。

===多重がんルールの概要===

多重がんの定義。

「単発がん」とは一つの腫瘍として登録する。
別々の腫瘍として登録するものが「多重がん」。
「多発がん」の多くは「単発がん」。

SEER2007準拠。
固形腫瘍のものを今回配布。
 造血系腫瘍のものはルールが複雑すぎるため
 どこまで導入するかを現時点では検討中。

全体の分類(どのルールを適用するか)
・頭頚部
・結腸 ←C18のみ。直腸は入らない。
・肺
・皮膚悪性黒色腫
・乳房
・腎(実質)
・尿路系(腎盂、尿管、膀胱、尿道)
・良性脳腫瘍、悪性脳腫瘍
・上記以外の部位・組織型

基本ルール

多重か否かを判定し、その上で組織型ルールを適用する。

多重がんルール(Mルール) Multiple Primary
組織型ルール(Hルール) Histology

原発病巣に対して、ルールを用いる。
順番に適用して、該当ルールを用いる。


まず部位を決め、それからルールを見に行く。
まずMのM1から見て、M1に当てはまるかどうか、
当てはまった時点でストップ。

上下の関係が重要。順番に見ていき、全体を見渡さない。
例)M5とM8にも該当する場合は、M5を適用する。

「その他」のルールを見ていく。(p136)
*胃にできている腫瘍が「管状腺癌」「MALTリンパ腫」の場合は
 胃の管状腺癌を優先する。
*時期が違う場合には「今の」腫瘍について。

組織型の決定(Hルールを適用する際)には1)2)3)の順で優先する。
1)病理細胞診所見を引用している診療録記載
2)診療録に引用されている組織型の記載
3)CT,PET,MRI所見での組織型記載 ←この部分は部位ごとに異なる。

表1は側性がある場合。
表2は組織型について。

【M1】→ 単発。※転移病巣という記述なし。
 ●単一腫瘍か複数腫瘍かが不明
【M2】→ 単発
 ●単一腫瘍
【M3】→ 単発
 ●複数腫瘍、前立腺、腺癌
注1:前立腺の腺癌は繰り返し診断されても1登録とする。
注2:腺癌NOSと腺房腺癌は、同じ組織型として扱う。
【M4】→ 単発
 ●複数腫瘍、網膜芽細胞腫
【M5】→ 単発
 ●複数腫瘍、カポジ肉腫
【M6】→ 単発
 ●複数腫瘍、60日以内、甲状腺、濾胞癌と乳頭癌
【M7】→ 単発
 ●複数腫瘍、60日以内、両側卵巣、上皮性腫瘍(8000-8799)
【M8】→ 多重
 ●複数腫瘍、側性のある部位の両側(表1)
【M9】→ 単発
 ●複数腫瘍、腺腫性ポリポーシス
【M10】→ 多重
 ●複数腫瘍、1年を越える間隔をおいて診断
【M11】→ 多重
 ●複数腫瘍、局在コードの上位3桁が一致しない
【M12】→ 多重
 ●複数腫瘍、局在コードの4桁目が異なる
【M13】→ 単発
 ●複数腫瘍、ポリープ内腫瘍と壁発生、ポリープ内でない上皮内あるいは浸潤性腺癌
【M14】→ 単発
 ●複数腫瘍、複数のポリープ内腫瘍
【M15】→ 多重
 ●複数腫瘍、上皮内癌を診断後、60日を越える間隔をおいて浸潤癌を診断
【M16】→ 多発
 ●複数腫瘍、8000/3と他の特異的な組織型
【M17】→ 多重
 ●複数腫瘍、形態コードの上位3桁が一致していない
【M18】→ 単発
 M2~M17の条件に合致しない場合。(例:上皮内癌診断後、60日以内の浸潤癌)

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2017年1月16日 (月)

「地域医療構想と構想策定後の取り組みに向けて」講演会メモ

参加した講演会のメモです。

あくまでもメモです。文責はすべて私にあります。
記録内容として誤っていましたら、メモをとった私のせいだと思われます。
講師が使っていない表現も多数、含まれています。

=========
「地域医療構想と構想策定後の取り組みに向けて」講演会
2017年1月15日(日)13:00~15:10

開会あいさつ:砂川 靖 沖縄県保健医療部長

第6次医療法改正に伴い、2016年度までに地域医療構想を策定し、2025年のあるべき医療提供体制に向けた協議の場がスタートする。
本講演会は、地域医療構想の趣旨を共有することが目的である。

座長:保健医療部保健衛生統括監 糸数 公 先生

講演1「地域医療構想と次期医療計画」

講師:厚生労働省医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室地域医療構想策定支援専門官
 伴 正海(ばん まさうみ)先生

本講演の趣旨:制度・政策の概要と方向性を知り、沖縄の地域医療に活かす
1.政策の概要と方向性についての理解
2.地域にてどう実践するか

1)医療政策の主体は国ではなく都道府県
 国に陳情してもほぼ意味なし。
 都道府県との協働が必要。
2)地域包括ケアシステムが上位概念
 地元市区町村から選ばれる医療機関になる必要がある
3)高度医療より地元医療
 地元住民や介護事業所から選ばれる医療機関
4)AIやICT技術はどんどん取り入れる
 医療以外の科学技術分野をしっかり学ぶ必要がある
5)専門職じゃなくてもできる仕事は代替される
 医療機関の理念を通じ専門職の在り方を再定義することが必要
6)魔法の杖は、ありません。
現場からコツコツと積み上げていく必要がある。


地域医療構想とは?
医療計画の一部が地域医療構想である。
保険制度、医療提供体制(医療法・医師法・保助看法等)
 医療法の中に「医療計画」がある。
 5疾病5事業等、の中に地域医療構想が入ってきた。

「2025年問題」
いわゆる団塊の世代が75歳以上となる。
高齢者人口の増加には大きな地域差がある。
(切れ目のない)良質な医療サービスを。

医療は外来・入院・在宅という3つの場所が前提である。
在宅の中に施設と居宅が入る。
入院から在宅(施設は介護施設にするのか居住系施設にするのか)

地域医療構想の手順
1)2025年の地域ごとの医療需要を推計する(病床の必要量)
2)医療機関は裸になる(病床機能報告)
3)関係者が地域最適化に向けて試行錯誤(調整会議)

医療受療率×推計人口=推計患者数
という式で推計している。

医療資源投入量の推移(入院2-3日で落ち着き、その後は一定水準)
 ※ 医療資源がすべて点数換算されている

病床機能報告:病棟単位で「現状」と「今後の方向」を報告するもの
「定性的で、もやっとしていて選びにくい」という声があるので定量的な指標も検討中?

「現状」と「将来推計」は異なるもの。

「調整会議」を行う。これは医療計画の一部。(医療法が根拠)
都道府県医療審議会が最高機関(都道府県単位の会議)

地域医療構想調整会議は構想区域になる。
圏域連携会議が二次医療圏。

医療計画の見直し「基準病床数」の算定式の見直し
地域医療構想調整会議において議論する内容および進め方
医療介護連携:医療計画5年、介護計画3年だったが、医療計画を6年毎に策定となったので、医療介護連携が進む?

平成30年度に横並びスタート!
 医療介護相互確保法
 改正医療法
 改正介護保険法

診療報酬制度にもリンクしている。
内閣財務省が目を光らせている。(ホントにやっとんのか!?と)
都道府県知事がちゃんとやっとんのか、という権限行使についても。
きちんと話し合いましょう。

医療政策の全体像

医療における3つの層:「現場」と「政策」と「経営」
「現場」と「政策」の間に「経営」がある。
しかし経営についての「公用語」がない。経営はお金だけじゃない。

「舟ごと滝に向かう」という危険性。
地域の当事者たちが同じ船に乗っているという意識。

地域に必要な医療は「誰がやってもいい」時代。
地域住民から選ばれ続けることが重要。


異文化コミュニケーションである。
国と都道府県、保健所は「行政語」(文書)でコミュニケートする。
医療者は「医療語」、つなげるために必要なのは理解と信頼。

制度を社会の変化に適合させるためにどうしたらよいのか。

医療法の歴史。地域を取り込み、誘導している(?)。
 改革の流れは平成18年から継続している。

医療法と「進撃の巨人」
(診療報酬のマイナス改訂を50メートル級の巨人になぞらえていた)

慢性期から管理、介護へつなぎこむ部分をもっと精緻に。

アクセス:時間距離・山間部には「交通強者」が存在する。
 僻地(山間部)には交通強者が交通弱者となる。

質とコスト
「質を落とすことなく、より費用効果的なサービスへ」

社会背景や文化から脳卒中・AMI、認知症へ。
 そもそも「ならない」ようにするには?
急性期は「選ばれし者のみの世界」=血みどろ
地域に出ないといけない分野は、地域の中にある。

人口規模と医療機関の関係。
「やりたいこと」というよりは「地域に選ばれること」
地域内シェアの拡大、差別化

連携のために必要なこと
・自分たちは何者か:理念
・地域に何が必要か:病床機能報告、地域医療構想、地域との対話、選択と集中
・自分たちは何者かを知ってもらうこと:

日本の未来を創るには
・まちづくりと共に医療介護を作る
・技術革新と共に医療介護を作る
・アウトカムは住民

キーワード「当事者意識」


講演2)「地域医療構想地域包括ケア ~実行性ある計画のための医療者の役割~」

産業医科大学 医学部 公衆衛生学教室
松田晋哉先生

地域医療構想とは:

 地域医療全体を俯瞰した形での、合意形成

 医療機関は地域における自院内の病床機能を
 データにもとづいて客観的に把握し、
 自院の将来像を描くことができる。

これから情報公開は更に進む。
国が一本で「これでやりなさい」というのは、もうない。

地域医療構想の検討手順
 策定ガイドラインでは先に数字を決める?
 福岡県では逆にした。
 先に地域医療構想調整会議を4回、しっかり話し合った。
 それを集約して、県に答申した。

第7次医療計画(平成30年)
在宅医療の必要量を書きこまなくてはならない。
 介護保険事業計画(地域包括ケア計画)→慢性期のことを話し合う必要性

慢性期がうまくいかないと急性期はうまくいかない
「急性期」のみが医療だった時代は終わった。

急性期、慢性期、介護保険を行ったり来たりする時代。
それをどうするか。データなしではできない。
それを考え実行するための地域医療構想である。


間違えてはいけないこと
・病床削減が地域医療構想の目的ではない

機能別病床数の考え方
・高度急性期+急性期、急性期+回復期の重なりを考慮した推計
・高度急性期・急性期は専門医の研修指定施設との関係を考える必要がある。
  大学医学部との調整
  やりすぎると地域にニーズがあるのに麻酔科医・外科医がいなくなっては困る。
  人材育成と病床機能は密接に結びついている。
・回復期病床(地域包括ケア病床)の配置は、急性期病院および診療所・介護施設
 との連携のしやすさを考慮
  地域包括ケアとは中学校の区域ぐらい。調整会議が必要。
・療養病床数は介護および在宅医療の状況に依存
  在宅医療の提供量の現実的な推計
  (人口密度が低い北部地域では在宅医療は困難、実現可能な計画を)
  看護師・介護職の確保可能性

慢性期病床と介護施設、在宅が、重なる領域がある。

DPCデータの検討
1)欠けている機能はないか?
2)病院機能は年度間で安定しているか?
3)圏域内の各病院の機能分化はどうか?

NDBデータの検討
当該機能について、各医療圏(構想区域)毎の自己完結率は?
不都合はないか?など。

年齢調整標準化レセプト出現率

人口推移の検討。
過去だけでは未来はわからない。
が、未来は、人口構成でかなりわかる。

医療介護職の確保。基金を使うのか。
施設が重要な地域、人が重要な地域。

肺炎・骨折(+尿路感染症)は75歳以上の高齢者に多く発生する。
既に要介護状態にある高齢者も多い。

専門調査会推計:一定の仮定のもとに患者数の推計を行った。
 仮定は仮定。「療養病床入院受療率」の都道府県格差を縮小。

療養病床にはたくさんの社会的入院がいる?
いやそんなことはない。
介護保険が始まって16年、平均年齢も10歳上昇、かつてのような老人臭病院はない。
「慢性期は無駄な医療」という思い込みを捨てること。

傷病ごとの推計。
C1、C2、C3設定の基本となった医療資源投入量(中央値)の推移の分析結果。
急性期と回復期の区分点(変曲点)が2-3日。
病床稼働率70%で推移する?

病床稼働率が低い地域(既に患者がいない:人口減)

地域医療構想調整会議では「望ましい医療介護サービス提供体制」の共有。
地域ごとの合意形成を行うことが必要。

福岡での実施例。
自分たちの頭と手を使う。
医療の機能を変えるのはそれぞれの医療機関。
どんな医療施設でも無くなると医療水準が下がる。
存続のために何をしてもらうか。

医療提供体制・課題のチェックリスト
例)自己完結率・患者流出入の評価

患者流出入の状況など
DPC診療実績:対応できているか、量は十分か
福岡県素案(HP参照)

一つの構想だけではうまくいかない可能性が高い。
複数のシナリオを記述しておく。

看護師・介護士・OT/PT
ご主人が車を運転すると外来に行ける。
ご主人が亡くなると診療所への通院が不可能となる。

誤嚥性肺炎ばかり?
要支援・要介護状態の患者さんに発生する肺炎や骨折。
それを受け入れる地域包括ケア病床。

看護師さんの卒後10年。
急性期のみならず慢性期、包括ケア病床、精神への勤務。

医療計画は机上の空論でした。
シンクタンクに丸投げして、その数字が解釈できないのでは意味がない。

基準病床数の推計と、地域医療構想の推計、
もともとの計算の考え方が異なるので、無理して合わせる必要はないのでは?
基準病床数に意味があるのなら、6回の医療計画の中で収斂してきているのではないか?

都道府県知事が何ができるのか?そんなに何もできない。
そこにナーバスにならない方がよい。

慢性期および地域包括ケアの対応。
沖縄は療養が弱い。
「医療区分1」の患者の70%を退院させた際にはどうなるのか?

医療区分1の7割が女性。看護師によると半分は退院可能
だが家族の受け入れが困難なために退院できない。

在宅はそんなに甘くない。
訪問診療「認知症+がん」の方が在宅になってしまう。

在宅の4,5には訪問看護が入っていない。
 → 介護の医療対応が弱すぎる。

ケアマネジメントが給付管理になってしまっている。
医療ニーズが多い患者には看護的な管理が必要。
(予防可能・誤嚥性肺炎なら嚥下訓練)

介護へ、医療側から、予防的なケアを入り込む。
訪問看護の密度が異なる。

医療・介護を総合的に考えることの重要性。
脳梗塞のために急性期病院で入院治療を受けた患者の入院前後6か月サービス利用状況調査では、入院時に20%が認知症。40%が入院前半年に、介護保険を利用している。

階層モデルからネットワークモデルへ。

介護保険事業計画との整合性が必要。
バラバラではダメ。琉球大学で分析する?

データブック、年度ごとの更新、フォローアップの可能。
医療費の適正計画というのは削減だけではない。

100円払って200円のサービスを受けているのが医療。
医療崩壊で被害を被るのは住民、国民。

地域公衆衛生活動(三師会、看護協会)の復権を。

=======
以下、質疑応答の部分は省略します。


感想です。
ニュースでは「病床数」の部分ばかりクローズアップされますが
病床数以上に、医療提供体制について問われている、
また、医療と介護との接続、病気と生活との接続が課題であるという
印象を受けました。

沖縄県では、もうすぐパブリックコメントを募集するそうです。

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2016年4月12日 (火)

「健常死」という概念

生きる、死ぬ、わからないことがある、というのが人間の真実だ、とある先生に教えられて。

年をとって自然に(?)死ぬ、というのは医学的には「老衰」と捉え、積極的な意味では用いられて来なかった。
しかし、「健康な人間の常態、人生の終末期としての自然死」、というものは稀な現象なのだろうか。
全部分類してしまい、ほとんどすべての死は病死、そうでなければ事故死、というのが今の捉え方である。
歴史的には「老衰死」≒「死因不詳」と捉えられてきたのでそのニュアンスは残る。

新しい用語が必要なのかもしれない。
ということで、病理学者コミュニティの端っこにいる人間の一人として。

「健常死」という死に方、概念を提唱してみたい。

プログラムされた細胞死とされているapoptosisに相当する、ヒト個体の死。
Accidentalではない、internalな、人体固有の生物学的内因死であること。

その個体なりの、健康な常態の終末期を経て、その結果として亡くなった、人の死。
その定義、というのがあり得るかな?というのを考えている。

まずは概念として、ここに出しておくだけ、ね。
このネーミングが適切かどうかもよくわからないし。
他にもこういう考え方に結び付いている人はいっぱいいそうな気がするし。


たとえば100歳で昨日まで家で元気で食事もして話をしてらした方が、
眠るように、亡くなった場合。
その方の身体には、某臓器癌細胞の全身播種があった場合。

もちろん?「悪性腫瘍(悪性新生物)による死」ということになるんだけど。

現行の死因統計、原死因分類は、
ある臓器の悪性腫瘍の全身播種の結果として死んだ人は、
もう「自然死」ではない、「病死」である、
という社会的メッセージを送り過ぎてしまっている、と私は考えているので。

まだ自分でもちょっと考えてわかる限りでも、突っ込みどころ満載。

・英語ではどう表記するの(未定)
・嘘やごまかしが入りにくい死因の概念として、社会的な合意形成があり得るの
(これは超難関。はっきり言って、まだまだわかんない。
 SIDSのように病理解剖で確認されていること、としてみるかな…。)
・障がい者は健常死しないの
(これは絶対、否定したい。すべての人が健常死できるもの、として定義したい。)
・他の死因とのすみ分け。
(これが一番厄介なところだろーなー。)
・病理診断としてあり得るの。
(SIDSだって病理診断される時代なんだから、できない訳はない、と私は思っちゃうけど。)

・・・などなど。
他者からフルボッコにされるのは精神的にキツイので、
今は自分で考えて、自己批判もしながら、ネット上で公表してるだけ。

死について語ることが社会的タブーと今もされているのかどうかは私にはよくわからない。
とりあえず、ゆっくり考えて行こうっと。

私がやらなくても、誰かがやってくれるなら、それでいいと思うし。

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2016年3月16日 (水)

第10回沖縄消化管臨床病理研究会のメモ

久しぶりの更新は、病理診断の専門的な内容です。

消化管病理標本は、国内では病理組織検体の中で最も数が多いのではないかと思います。
私は病院育ちの病理専門医で、消化管検体には頻繁に遭遇するため、ほとんど個人の経験の積み重ね(=on the job training)で消化器生検標本を診断しているのですが、たまに勉強会に出ると感動します。
専門家中の専門家って、本当にすごい、と思います。
そんな勉強会、研究会に出席してきました。

先週、開催された第10回沖縄消化管臨床病理研究会の講演メモを貼っておきます。
講師名を(勝手に…すみません鬼島先生!)記載していますが、文責はすべて私にあります。
記録内容として誤っていましたら、メモをとった私のせいだと思われます。
あくまでも私の理解のためのメモなので、講師が使っていない表現も多数、含まれています。

ネット上のテキスト情報で病理について勉強するのは本来、難しいと思いますが、
消化管病理についての理解を深める一助となれば幸いです。

*個別の症例についての話ではなく、病理学的な内容です。
 消化管疾患に悩んでらっしゃる方もこちらをご覧になると思いますが、
 一個人の疾病にあてはめて考えるのには、適切な情報ではない可能性があります。
 個人の疾病は個性の数だけ千差万別、何でもあり得ることをご理解の上、
 もし読まれるとしても、注意深く、お読みくださいね。
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第10回沖縄消化管臨床病理研究会メモ 2016年3月11日

特別講演:鬼島宏先生(弘前大学)
「臨床画像に反映される消化器癌の形態学的特徴
 ~胃潰瘍と胃癌の話を主体に~」

上部消化管臨床の変遷(トレンド?)
1980年:H.pylori関連疾患
2000年~ 非H.pylori関連疾患(GERD,NSAID潰瘍)

消化性潰瘍:
崎田・三輪分類(1961年胃透視画像)
村上分類(1957年、潰瘍の深さによる分類)

潰瘍辺縁部のUlⅢs、UlⅣsでは粘膜と筋層(固有筋層)がくっつく

胃潰瘍の形成から治癒へ。
Ul-Ⅰ,Ul-Ⅱの場合は粘膜下層に線維化。
Ul-Ⅲ,Ul-Ⅳの線維化は固有筋層までなので線維化持続し、
筋層の断裂と粘膜筋板との癒合が発生する。

Askanazyの4層構造:滲出層、類線維素壊死層、肉芽組織層、瘢痕層
4層構造があるのは「穿孔する前から潰瘍があった」という証拠になる。
修復課程は縦横、両方の構造である。

慢性消化性胃潰瘍についても同様。(出血性潰瘍の手術例)
縦横に(水平方向・平行方向に)4層があるか?再生上皮があるか?
前後壁への広がりなどから消化性胃潰瘍の再燃性を評価する。

西巻正先生の学位論文 1983
瘢痕線維化でわかる、胃潰瘍の時間軸
F1 活動性線維芽細胞:疎な膠原繊維 ~1ヶ月
F2 中間相(種々の細胞): 1ヶ月~1年
F3 非活動性線維芽細胞: 1年~(年単位の古い潰瘍)
時間軸で見る胃壁。

胃癌の発生と進展
・分化型癌(既存腺管の置換):腸上皮化生が背景、早くから全層置換。
・未分化型癌(粘膜固有層内):腺の萎縮を背景に、腺管の間に。

臨床画像と病理像は、観察法の違いと翻訳。
内視鏡観察と病理標本=観察軸(90度)の違い。
NBIの便利なところ:血管構造が見える、など。

幽門腺粘膜と胃底腺粘膜の違い。
胃底腺領域は胃底腺部が厚い(被覆上皮:胃底腺=1:3~4)
幽門腺領域は薄い(被覆上皮:幽門腺=1:1)
なので、胃底腺領域よりも、幽門腺領域の方が粘膜固有層が薄い。

胃粘膜の腸上皮化生≒萎縮
「萎縮性胃炎」には腸上皮化生がある。
胃底腺粘膜(胃固有腺の上部)が消失したものが腸上皮化生。
粘膜萎縮→増殖帯が相対的に下方へ移動。
胃小区間で起こることが多い。

胃癌の組織型
一般型の分化型癌細胞:サイコロに譬えられる
(積み重ねられる=腺構造を形成できる)
未分化型癌細胞:ビー玉に譬えられる
(コロコロ転がって腺にならない、浸潤していく)

分化型癌(=管状腺癌)の多くは腸上皮化生、粘膜全層置換。
なので通常、表層にヘリコバクターピロリ(HP)はいない。

未分化型癌(=低分化型管状腺癌、印環細胞癌)は萎縮のない
ところから始まるため、表層にHPがいる。
固有粘膜萎縮、増殖帯付近に出現する。

まとめ。
分化型胃癌:腸上皮化生より発生し、初期より粘膜全層を置換する。
未分化型胃癌(印環細胞癌):固有粘膜萎縮によって発生し、増殖帯付近にみられる。

「サイコロは積み重ねられるけど、ビー玉は積み重ねられない」ので、
肉眼的な隆起型になるのは分化型のみ。

分化型癌(結合性が強い)サイコロを積み重ねるが如し。(上方発育)
未分化型癌(結合性が弱い)ビー玉が転がるが如し。(側方伸展)

びらん形成は、癌細胞増殖でも病変は陥凹するため。


癌細胞の粘膜下浸潤について。

分化型腺癌は結合性が強いため、スクラムで静脈壁を侵襲しやすい。
(静脈侵襲から肝転移)

未分化型腺癌は結合性が弱いため、散乱式にリンパ管侵襲・播種をきたしやすい。

腫瘍塊を作ったものがBorrman分類;1型2型が分化型、3型4型が未分化型

大腸癌は9割以上が分化型腺癌(→静脈侵襲、肝転移が多い)
胃の半数は未分化型癌。
(→初期から陥凹性病変が多く、腹膜播種、リンパ行性転移)

2型か3型か、というを鑑別するには、周堤の断面をみる。
(オーバーハング<90度)

分化型腺癌は隆起、未分化型腺癌は陥凹
分化型腺癌は褐色調(発赤調=腺管および血管の増加)
未分化型腺癌は正常色調~退色調(間質の細胞数増加)
:細胞成分が多いと肉眼的に白く見えるらしい

分化型腺癌はⅡa様周堤を形成する、
未分化型腺癌は退色調・無構造・Ⅱa様周堤を欠く。(Ⅱb局面)

粘膜内病変の中央部に陥凹があればSM浸潤を疑う。

中分化型腺癌「手繋ぎ型腺管」→血管網の相対的現象がある

粘膜内癌だと直接的に内視鏡像に反映される。

Ⅱb型は如何に形成されるか?→少量の癌細胞が表層上皮圧排する場合
中分化型腺癌(手繋ぎ型で粘膜中層):表面は非腫瘍性
少量の未分化型癌(びらん形成前)


潰瘍合併胃癌の特性

進行胃癌 vs 潰瘍合併早期胃癌

潰瘍合併早期胃癌(M癌)Ul-Ⅳs(筋層の断裂、線維化F3)
胃壁硬化・陥凹=潰瘍
早期胃がんで、Ul-Ⅳが合併したもの。

潰瘍合併胃癌はどのようにして発生するか?

Ⅱb型発癌から潰瘍形成(陥凹)
粘膜下層浸潤時にはリンパ組織が対応。
浸潤部が潰瘍によってマスクされてしまう。
島状再生上皮が潰瘍間にみられる。

粘膜内癌は消化性潰瘍(Ul-Ⅳs)合併の記載が必要。


More advanced

気になる組織型
1)Carcinoma with lymphoid stromaリンパ球浸潤を伴う癌
EBウイルスのB-cellへの感染によって起こる。
悪性リンパ腫(Hodgkin,Burkitt)、鼻咽頭癌。

2)Invasive micropapillary carcinoma浸潤性微小乳頭癌
通常の腺癌が小胞巣構造を呈し、間質に裂隙が存在。
脈管(リンパ管)侵襲が高頻度。
Fibrovascular coreがない。
生検にはなかなか出ない、が出たら更に悪性度が高い。

消化器癌の前癌病変について。
胃は、de novo癌。 de novo(初めから、新たに)
胃の腺腫内癌は否定的。
大腸とは異なる?

培養細胞で再現できない、悪性の程度。
膵癌でも、胃癌でも、大腸癌でも、培養細胞レベルでの悪性度はあまり差がない。
ということは組織特性、臓器特性による悪性度の差なのか。
管腔臓器であれば、管腔壁の厚み(=粘膜、筋層)による悪性度の差があり得る。

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メモは以上です。

なお、「沖縄消化管臨床病理研究会」は今回、第10回で終了です。

これまで10回の開催について、関係された方々に厚くお礼申し上げます。

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2015年6月 8日 (月)

飛行機の中で呼び出された経験談

飛行機の中で「お医者様はいらっしゃいませんか」という場面に立ち会ってしまった経験談を書いておきます。

注)ただの前世紀の経験談です。
 古すぎる話で記憶が確実でない部分もあります、ご容赦ください。
 医師の応召義務の話題ではありません。
 議論の材料にはしないでいただきたいです。

当時わたしは医学生、高学年でした。
アメリカ東海岸から日本へと飛ぶ、国際線(日本の航空会社)に乗っていました。
フライトの時間は、10時間程度だったと思います。

事情により一人旅だったのですが、たまたまお隣に話好きの方が乗っていて
旅は道連れ、とばかりに、わたしはお隣の女性といろいろと話していました。
その中で「医学生である」という話もしていました。

離陸して数時間後。
それまでわたしたちにサービスをしてくれていたキャビンアテンダントさんが、
わたしのところにやってきて、膝をかがめて、こんな風に話しかけてきたのです。

「すみません、お話を聞いてしまったのですが、医学部の学生さんなのですか。
実は機内で気分が悪いとおっしゃるお客様がいらっしゃるのです。
心配なので…少しだけでも、様子を見にきていただけないでしょうか。」

驚きました。そしてものすごく怖くなりました。
軽率に自分の情報を知らない人に明かしていたことを後悔しました。

医学生で医療行為はできないこと、そもそも全然自信がない!ということを必死で訴えました。
ですけれど、結局わたしは「気分が悪いお客様」のところに行きました。
そのキャビンアテンダントさんが気の毒で、彼女の頼みを断り切れなかったのです。

機内の医療品として、酸素と血圧計などを見せられたような記憶があります。
「気分が悪い」方は意識はあり話もできました。
本気で気分が悪そうでした。
が、わたしでは何もできないことは明らかでした。

チーフと思われるキャビンアテンダントは私に対して不審感をあらわにしてきました。
そう。
「何もできない」と言っている場合ではないのです。
できることはすべてするしかない。
この場合にわたしにできることが一つありました。

「お医者様を呼んでください」

と、わたしは言いました。
それが最善の手段だと思いました。
わたしは医学生にすぎないのですから。
日本語と英語でドクターコールがなされました。
「お医者様はいらっしゃいませんか」という、放送です。

アメリカ人らしき壮年男性の医師が名乗り出ました。
「酸素吸入、到着したら救急車。それ以外にすることはない」と英語で結論し、彼は自席に戻りました。

わたしも戻ろうとしました…が引きとめられました。
最初にわたしに声をかけてきたキャビンアテンダントさんです。
できれば近くの席にいて欲しい、と、とても心配そうな様子でわたしを返してくれませんでした。

元の席に一時的に戻り、お隣の席の女性に事情を説明して、わたしは席を変えました。
何もできないのに近くにいるのも変だと思い、「気分が悪い方」の血圧を測ることにしました。
聴診器で脈拍を聴きとるタイプの血圧計でした。
ですが、機内はうるさくて、脈がほとんど聞き取れませんでした。
成田空港まで、触診法で収縮期血圧だけを定期的に測定し、記録しました。
長い長い、オソロシイ旅になってしまいました。

成田に到着して、待っていた救急車が患者さんを乗せて出発し、
ようやく解放されたと思ったのですが、それで終わりではありませんでした。

最初に声をかけてきたキャビンアテンダントさんが、今度は、ペンと用紙を持ってきたのです。
そして、ここに住所と氏名、連絡先を書いて欲しい、と言われました。

この患者さんに何かあったら責任を問われるのだろうか、とわたしは恐ろしくなりました。

でも予約時点で氏名は既にバレています。
もう今さら逃げも隠れもできないだろう、と観念して、わたしは用紙に記入しました。
家に戻ってからも、いつ恐怖の連絡が届くだろうか、と内心では心配していました。

そうしたら、ある日、航空会社から定型外郵便物が届きました。
中には礼状とトラベルウォッチが入っていました。
そのための住所氏名だったんだな、とようやく納得しました。

これで、わたしの経験談はおしまいです。

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2014年11月18日 (火)

北部医療の現状についてのシンポジウム

久しぶりの更新です。
12月6日(土)に名護市と名護市各種団体女性代表ネットワーク協議会(女性ネット)の主催でシンポジウムが開催されますので、そのご案内です。

Photo

pdfファイルはこちら
「sympoH26.pdf」をダウンロード

まずは、地域の方々に現状を知っていただきたいと思います。

地域の医療の中で、この10年、解決されていない課題もあります。
何もしていないから、今も解決していない、という訳ではありません。
これだけのことが、されてきている、でも今にいたるまで解決はしていない、のです。

地域の医療の問題は、地方自治の問題と直結しています。
ですけれど私は医療問題をすぐさま「政治問題」にしたくない、と考えています。
為政者が変わろうと変わるまいと、医療問題は医療問題です。

この地域に、この地域で、日々を暮らし続けていくために、できること、というのは何でしょう。

地域の方々に会場に足をお運びいただいて、一緒に考えていただけたら、と思います。

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2014年3月19日 (水)

平成26年度診療報酬改定、病理の部分(アンド愚痴)

平成26年度診療報酬改定の詳細が発表されました。
厚生労働省のHPではこちらになります。(リンク先はpdfです。7.283kbです。重いです。)

病理・細胞診に関しては今回は説明資料の中では1ページだけです。
そのページ(全体版の126ページ)だけを、貼らせていただきます。

H26


病理単体部分での大筋の変更はないようです。
免染で1600点加算可能な疾患が増えた(肺悪性腫瘍と悪性黒色腫)ことと、液状化検体細胞診加算が初回からとれるようになった(でも85点が18点に引き下げられた)というのが改定事項です。


☆      ☆      ☆

あとはお暇な方のみ、おつきあいください、という専門的な細かい話(愚痴?)です。

今回の改訂では、病理の細かい部分よりも、前立腺針生検や乳腺腫瘍摘出(5cm未満)、結腸ポリペク、子宮頚部切除などが「短期滞在手術基本料3(全診療報酬点数が包括)」になった方が、病院としての影響は大きいのかな、などと思いました。(上記リンク先のp27-29参照。)
これは病院ごとにものすごく事情が異なると思いますが、これらの件数が多い病院は、現状と4月以降との比較をする必要があると思います。たとえば、2泊3日ポリペク入院のパスがあるのなら、1泊2日に短縮できるならした方がいいのかも、とかいう話です。

で、病理側の自律的な話としては、この点数でどこまでやるのが「良心的か」という話になってくるのかな…とか。

どーせ包括だから病理診断をしない(病理に出しても出さなくても診療報酬は同じだから)というのは、論外です。
こういう病院が出たら、厳しくペナルティを課して欲しいと思います。
手術で採取されたすべての検体は病理診断されることが原則(もちろん例外はあります)と私は思います。

でも、検査数が過度に多いのも、問題なんです。
以下はその愚痴となります。

一度の入院、一人の患者さんで、24本の前立腺生検とか、30か所の大腸ポリペクとか、病理に出されても(この数字は誇張です、私自身は24本とか30か所とか診てませんよ、念のため)、もしすべてに癌があったら全部に細かく病理診断を記載して、切除断端のどこから何ミリかを計測して(これって自動計測じゃないですよ?私は顕微鏡とスライドガラスの間にプラスチックものさし挟んで1mmとか500μmとかって目算で計測してます)というのは、診断する側としては、一例一例に時間がかかってかかってたまらないです。

採取する臨床医には「ちゃんとねらって生検してください、スクリーニングを病理に丸投げしないでください、病理医には全例の厳密なスクリーニングに対応できるマンパワーないです」ってお願いしたくなります。

正確な診断、精確な診断、というのを何か、はき違えてないかな…と。
医療の質の向上を求めておられるつもりかもしれませんが、そこまで、できないんで…。

そもそも、癌であるか否かの判定にすら、むっちゃ悩むんですよ。
その上に、どこまで病理組織の細かい細かい項目を見ていくのが病理医の義務となっていくのか。
たとえば複数の癌がある場合、inicial diagnosisでは代表的な2箇所についてだけ記載し、それ以上の細かい診断が必要が場合は臨床側の求めに応じて追加報告で対応する、とかじゃダメなのかな…と思ったりします。
こういうのは取扱い規約とかガイドライン的な話になりますけどね。

すべての病理診断が、すべての患者さんを対象とした人体疾病研究、という訳じゃないんですから。
病理診断は、採取される患者さんの正確な病態把握が、第一の目的です。

特定の症例についてのみ、特に細かい(特定の)病理情報を集めたい、というのなら話は別なんです。
ちゃんとそれなりの手続きを経て(関係者の同意と納得も得て)、やればいいと思います。


日本の病理診断医の多くは「一般病理医」です。
国内で数十人しかいないような、特定臓器を専門とする専門的病理診断医と同等の診断水準を、国内全ての病理検体について、またすべての病理診断医に求めるのは、どう考えても無理があると思うんです。
ですけれど、現状ではその水準を求められる場面が多すぎて、病理診断医が疲弊する原因となっています。

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